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Sympa〜Webからメーリングリストの管理ができるOSS〜

メーリングリストとは、1つのメールアドレスで複数の人に同時にメールを配送する仕組みのことです。メーリングリストを使うことで、特定の話題についてメンバーに一斉に情報の展開ができたり、グループ全体でのメールのやり取りを円滑に行うことができます。ここでは、OSSのメーリングリストソフトウェアであるSympaを紹介します。

Sympaとは

Sympaとは、1990年代に開発が開始されたメーリングリストを管理するためのソフトウェアです。SympaはGPLライセンスのもと、オープンソースソフトウェアとして公開されています。メーリングリストを作成するための基本的な機能に加え、マルチドメイン対応や、投稿の保管庫、各種カスタマイズ機能などがあり十分な機能が揃っています。

SympaTOP画面

Sympaの特徴

Sympaには、以下の特徴があります。

WebUIから管理が可能

Sympaは、メーリングリストの管理や設定をWebUIから行うことができます。その他にOSSのメーリングリストとして利用されているMailman3は、コマンドラインでの設定が多いためそれに比べてSympaの方が操作がしやすいという特徴があります。

メーリングリスト作成画面

用途やポリシーに合わせた運用が可能

Sympaには、メーリングリストに関連する大量の設定が存在します。この様々な設定方法を活用することで、社内の運用ルールに沿ったメーリングリストを作成することが可能です。メールの投稿ポリシーの設定や返信先のアドレス変更などを行うことができます。

メーリングリストの設定画面

ARC署名を付与できる

Sympaを通して配信するメールに対して、ARC署名を付与することができます。ARCとは、メールが転送された際に最終的な受信者がそのメールの信頼性を判断できるようにする仕組みです。Sympaでは、このARCの設定を有効にすることで、検証済みのメールを処理すると、ヘッダにARC署名が記載されたメールが配送されます。

ARC設定画面

文字コードの対応

Sympaで送受信されるメールは、Unicode(UTF-8)が基本となっていますが、Unicode以外の文字コードにも対応しています。一般的なメーリングリストのソフトウェアでは、ISO-2022-JPからUnicodeに変換する処理で、問題が発生する可能性がありました。デージーネットでSympaを調査した結果、メンバーに届くメールでは、文字化けや内容の消失もなく、ISO-2022-JPの表示のままメールが送付されました。一部、SympaのWebUI上で文字化けがありましたが、受信者に送付されるメールでは不具合なく送付をすることが可能です。

Sympaの機能

Sympaには、以下の機能があります。

メーリングリストの管理

Sympaでは、メーリングリストの作成や購読者の登録、メーリングリストへの投稿をWebUIから行うことができます。また、メーリングリストへの投稿権限も細かく設定することが可能です。

マルチドメイン対応

Sympaは、マルチドメインに対応しています。そのため複数のドメインを一つのソフトウェアで管理することができます。

投稿の保管・閲覧

メーリングリストに送付されたメールは、投稿保管庫と呼ばれるフォルダに保管され参照できるようになります。

投稿保管庫

メーリングリストの権限付与

システムの管理者以外に、メーリングリストごとに管理者権限を別ユーザに付与することが可能です。このメーリングリストの管理者のことをオーナーと呼びます。オーナーの権限にも、通常オーナーと特権オーナーの2種類が存在します。特権オーナーは、メーリングリストの他のオーナーやモデレータを管理するなど、広い権限を付与することができます。

オーナーの登録画面

メール承認

Sympaでは、メールを送付する前にメールの承認フローを追加することが可能です。

権限の設定画面

メールコマンドによるメールの操作

メールに操作コマンドを記載することで、メーリングリストの操作ができます。

ブラックリストの設定

迷惑メールの配信者などメーリングリストへの配送を拒否したいアドレスをブラックリストとして登録することができます。

ブラックリストの登録

LDAP等による認証

Sympaは、CASやShibboleth、LDAPなどの認証基盤やDBを利用して認証を行うことができます。現在、SAMLやOIDCについては未対応です。

LDAPやDBからのリストメンバーのインポート

LDAPやDBからメンバーをインポートすることができます。この設定は、WebUIや設定ファイルからの両方で設定することができます。LDAPからのメンバー情報の取得の他に、SQL（RDMBS）を利用したメンバー情報の取得が可能です。

データソースの設定

利用にあたっての注意

Sympaを利用するにあたっては以下の注意事項があります。

• Mailmanからのメーリングリストやメンバーの移行機能はない
• メールの保管庫に大量にメールが貯まると、検索機能が遅くなる・動かなくなる可能性がある(ディスク性能による)

現状のメーリングリストからの移行や、メーリングリストのアーカイブが大量に存在するケースでは、部分的に移行するためのスクリプト開発や、運用方法の変更が必要です。

デージーネットの取り組み

デージーネットでは、Sympaを利用したメーリングリストサーバの構築・保守を行っています。その他にOSSのメーリングリストソフトウェアとしてMailman3やデージーネットで開発したpostLDAPadminなどを使ったシステム構築も行っています。お客様のご要望に合わせてソフトウェアを選択し、システムの導入を行います。システムの導入後は、安心してお使い頂くためのサポートやメンテナンスのサービスなどを提供しています。Sympaについてインストール方法などの詳しい情報は、Sympa調査報告書に掲載しています。

情報の一覧

構築事例：OSSのメーリングリスト管理システム（Sympa）

Sympa調査報告書

OSSのおすすめメーリングリストサーバ比較9選