バックアップとは

バックアップとは、コンピュータのデータを様々な理由により、別の記載媒体にコピーを取ることである。

バックアップの必要性

バックアップの用途は様々である。コンピュータそのものは人が利用するため、人為的ミスにより誤ってデータを消してしまうようなことは無くならない。また、コンピュータは機械であり、ハードディスクの故障やPCそのものの故障することもある。災害などによる影響での故障や紛失なども考えられる。こういった問題によって失われると困る電子データは、何らかの方法によって別の場所へバックアップを取る必要がある。

バックアップの方法

バックアップの手法には様々な方法がある。

• ファイルを別の場所へコピー
  最も単純なコピーである。システムの別の場所へファイルをコピーすることでバックアップとする。ハードディスクに余裕さえあれば何世代でもバックアップを取ることができ、復元も比較的簡単に可能である。特にシステムに依存することなく利用できる。個人のデータであれば、cpコマンドでコピーすることもでき、システムとして他サーバへコピーする場合には、rsyncコマンドなども利用できる。
• リムーバブルメディアへコピー
  取り外し可能な別の媒体へコピーを取る方法である。代表的なものに磁気テープがある。磁気テープそのものは、IO速度が遅く、時間がかかるが、1本にテラバイトクラスのデータを書き込むことが可能なものがある。ディスクメディアとしては、フロッピーディスクや光磁気ディスク（MO）といったPC向けに作られたメディアやDVD（Digital Versatile Disc）、BD（Blu-ray Disc）といったものがある。ディスクメディアについては、ハードディスクがとても安価になったため、可搬性以外のメリットがなくなりつつあるが、その特性を活かし、システムとは離れた別の場所へもっていく遠隔地バックアップにすることで災害などに対してのデータ保全ができる。
• スナップショット
  OSのファイルシステムの機能として、現在のファイルの状態のコピーを作る機能をスナップショットと呼ぶことがある。この機能を使うと、スナップショットを実行した時間のファイルがそのまま参照できる状態となり、既存のファイルシステムに対して更新や削除を行ってもそのまま見ることができる。代表的なものにNetAppのWAFLでの実装がある。LinuxではLVMにその機能があるほか、NILFSにもその実装がある。
これらのバックアップの手法に対して、どのようにバックアップスケジュールを組むのか検討する必要がある。

フルバックアップ

バックアップ対象をすべてバックアップするのがフルバックアップである。すべてをバックアップするので、そのタイミングのデータをリストアすることができるが、データ量が多ければそれだけ時間がかかる。

インクリメンタルバックアップ

フルバックアップを行った状態から、更新されたファイルだけをバックアップするのがインクリメンタルバックアップである。インクリメンタルバックアップは、更新ファイルだけを対象とするため、バックアップ時間は短縮される。任意のファイルをリストアしたい場合には、最終更新を行ったタイミングのバックアップからリストアする必要がある。また、最新の状態に完全にリストアする場合には、フルバックアップのリストアのあと、最新のインクリメンタルバックアップのデータをリストアする必要がある。

増分バックアップ

直前のバックアップからの更新ファイルだけをバックアップするのが増分バックアップである。この場合は、インクリメンタルバックアップよりさらにバックアップ対象を少なくすることができる。ただし、最新の状態に完全にリストアするためには、フルバックアップをリストアしたあと、それ以降に増分バックアップされたデータをすべてリストアしなければならない。

バックアップの計画

バックアップの特性を考えてバックアップ計画を立てる必要がある。例えば、土日にフルバックアップを取得し、平日の深夜はインクリメンタルバックアップを取るといった計画である。 バックアップデータが多く、1日で終わらない場合には、バックアップ対象を分割する計画を立てたり、更新データが多く、インクリメンタルバックアップの意味が薄い場合は、毎回フルバックアップをするといったことを考えなければならない。