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リレーショナルデータベース(RDB)とは

リレーショナルデータベース(RDB)とは、データを表形式(テーブル)で管理し、複数のデータを関連付けて扱うことができるデータベースの一種である。データベースの中でもリレーショナルデータベースは最も主流で、多くの業務システムやアプリケーションで採用されている。

リレーショナルデータベースの特徴

以下では、リレーショナルデータベースの特徴を解説する。

テーブルによるデータ管理

リレーショナルデータベースでは、表の形をした「テーブル」上にデータを格納する。テーブルはリレーショナルデータベースの基本単位であり、特定のデータを一元的に管理することができる。テーブルは、行(レコード)と列(フィールド)で構成され、各行が個々のデータ項目、各列がデータの属性を表す。例えば、「顧客情報」を管理するテーブルを作成する場合、次のような構造になる。

顧客情報テーブル
顧客ID 氏名 電話番号 メールアドレス
001 山田太郎 090-1234-5678 yamada@example.com
002 佐藤花子 080-9876-5432 sato@example.com
  • 列(フィールド)

    テーブルの縦軸で、データの項目(例: 顧客ID、氏名、電話番号など)を表す

  • 行(レコード)

    テーブルの横軸で、実際のデータ(例: 山田太郎さんの情報)を表す

表形式でデータを管理することで、数学的な演算に基づいてデータ操作や集計を行うことができるため、データを整理しやすいのがリレーショナルデータベースの特徴である。

テーブル間の関係性(リレーション)

リレーショナルデータベースでは複数のテーブル間でデータを関連付けることができる。そのため、一貫性を保ちながら効率的にデータを管理することができる。例えば、先ほどの「顧客情報テーブル」に「注文情報テーブル」というデータを結び付ける場合、「顧客ID」が共通の列(フィールド)となる。

注文情報テーブル
顧客ID 注文日 商品名 金額
001 2024-11-01 ノートパソコン 120,000
002 2024-11-03 マウス 2,500

ここで、主キーと外部キーについて説明する。

  • 主キー(Primary Key)

    主キーは、テーブル内の各行(レコード)を一意に識別するための列である。上記の例では「顧客ID」が主キーとなり、同じIDを持つレコードは存在しない。これにより、データの重複や混乱を防ぐ。

  • 外部キー(Foreign Key)

    外部キーは、別のテーブルとの関係を表すためのキーである。例えば、「注文情報」テーブルと「顧客情報」テーブルを関連付ける場合、注文情報テーブルに「顧客ID」を外部キーとして設定する。この仕組みにより、リレーショナルデータベースでは複数のテーブルを連携させることができる。

スキーマに基づくデータ構造

スキーマとは、データベース内のデータ構造やデータの整理方法を定義する設計図のようなものである。リレーショナルデータベースでは、このスキーマに従ってデータを管理する。スキーマには、列名やデータ型、制約(例: 必須項目や一意性)が含まれ、これによりデータの整合性を保ちながら管理することができる。

ACID特性によるデータの一貫性

リレーショナルデータベースは、データの一貫性を維持するためにACID特性(Atomicity, Consistency, Isolation, Durability)を備えている。ACID特性とは、トランザクション(データベースにおける一連の処理)を安全に実行するための特性であり、以下の4つの要素からなる。

  • 原子性(Atomicity)

    トランザクションはすべて完了するか、まったく行われないかのいずれかである。途中でエラーが発生しても、一部だけが適用されることはない。

  • 一貫性(Consistency)

    トランザクションの実行後、データベースは一貫した状態を保つ。

  • 分離性(Isolation)

    複数のトランザクションが同時に実行されても、互いに影響を与えない。

  • 永続性(Durability)

    トランザクションが完了した後、データは永続的に保存される。

これにより、トランザクションの処理中にエラーが発生してもデータの整合性が損なわれることがないため、データの信頼性を保証することができる。

SQLを使用した操作

リレーショナルデータベースでは、標準化された構造化クエリ言語(SQL)を使用してデータを操作する。SQLを使うことで、データの検索、挿入、更新、削除などの操作を簡単かつ効率的に行える。

リレーショナルデータベースのメリット・デメリット

以下では、リレーショナルデータベースの主なメリット・デメリットについて詳しく説明する。

メリット

データの整合性が高い

リレーショナルデータベースはACID特性に基づいてトランザクションを処理するため、データの重複や不整合を避けることができ、常にデータの一貫性を保つことができる。例えば、仮に複数のテーブルを紐づけて連動させている場合、一方のデータに変更が生じたら、もう一方のデータも強制的に変更箇所が反映されるようになっている。こうした特性から、金融システムや医療記録など、データの信頼性や正確性が求められる分野で特に活用されている。

柔軟なデータ操作が可能

SQLを使用することで、複雑なクエリやデータ操作が簡単に行える。条件付き検索や集計、データの結合など、高度なデータ検索や集計が可能なため、多様なニーズに柔軟に対応することができる。

データの追加コストを抑えられる

通常、データベースにデータを追加していくためには、追加するデータを格納するためのリソースを用意しなければならないため、コストが発生する。それに対し、リレーショナルデータベースは、一度サーバを構築してしまえばテーブルを追加するだけでデータを増やしていくことができる。そのため、比較的低コストでデータベースを運用することが可能である。

デメリット

データ量の増加によるパフォーマンス低下

テーブル間の結合が多い場合や、巨大なデータセットを扱う場合、クエリの実行速度が低下することがある。そのため、データ容量が増大する可能性がある場合は適切なインデックス設計や最適化が必要となるが、それでも限界が生じることがある。

拡張性に欠ける

リレーショナルデータベースはデータの一貫性を保持するため、原則として単一のサーバでデータを管理している。そのため、複数サーバによる分散やクラウドサーバへの移行が難しく、スケーラビリティはハードウェアの性能向上に依存する傾向がある。これにより、扱うデータによっては性能が低下することがある。

非構造化データの扱いが苦手

リレーショナルデータベースは基本的に、行と列で構成された構造化データしか扱えないため、テキスト、画像、動画などの非構造化データの管理には適していない。このような用途では、NoSQLなどの他のデータベースの方が効果的である。

RDBとNoSQLの違い

NoSQLとは、「Not Only SQL」の略であり、リレーショナルデータベースのように固定された表形式のスキーマを持たない非リレーショナルデータベースのことを指す。リレーショナルデータベースにおける非構造化データやスケーラビリティの課題に対応するために開発され、多様なデータモデルをサポートしている。

リレーショナルデータベースとNoSQLは、データベースの種類としてそれぞれ異なる利点や特性を持つため、システムの用途やデータの特性に応じて使い分ける必要がある。データベースを選ぶ際のポイントとして、以下の表では両者の特徴をまとめている。

項目 RDB
(リレーショナルデータベース)
NoSQL
(非リレーショナルデータベース)
データ構造 表形式(テーブル)、スキーマ固定 柔軟なデータ構造
(ドキュメント、キー・バリューなど)
スキーマ スキーマを事前に定義する必要がある スキーマレス、動的にデータ構造を変更可能
操作言語 SQL(Structured Query Language) データベースごとに専用APIやクエリ言語が異なる
スケーラビリティ スケールアップが中心
(ハードウェアの性能に依存)
スケールアウトに適している
(水平分散が容易)
データの一貫性 ACID特性に基づき一貫性が高い 最終的な一貫性(Eventual Consistency)を重視
適用例 金融、医療、在庫管理など構造化データが多い分野 ソーシャルメディア、IoT、ビッグデータなどの非構造化データを扱う分野
性能 小~中規模のデータに適している 大規模データやリアルタイム処理に適している
学習コスト 標準化されたSQLのため習得しやすい データベースごとに異なるため学習コストが高い

このように、リレーショナルデータベースはデータの一貫性と整合性を重視するシステムに適しており、NoSQLは柔軟性や拡張性を必要とする用途に強い。データベースを選ぶ際は、目的とする使い方を検討した上で最適なものを選ぶとよい。

リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)のOSS

リレーショナルデータベース管理システム(Relational Database Management System:RDBMS)とは、RDBを管理・操作するためのソフトウェアのことである。製品での実装はOracle Database、Microsoft SQL Server(Windows)が有名で、OSSでの実装はPostgreSQL、MySQLなどが有名である。以下では、OSSのリレーショナルデータベース管理システムを紹介する。

MySQL

MySQLは、Oracle社が開発を行ったオープンソースのリレーショナルデータベース管理システムである。世界で最も普及しているオープンソースのデータベースとして知られ、Webアプリケーション開発などで広く利用されている。

MariaDB

MariaDBは、2009年に作られたMySQLの派生版リレーショナルデータベースである。MySQLがOracle社に買収されたことを受け、元のMySQLの開発元によって開発された。MySQLからMariaDBへ乗り換えるユーザを想定して作成されているため、MySQLと高い互換性を持っている。例えば、MariaDBではMySQLの構造、命名規則、データ定義ファイルを保持している点や、ACID特性や標準でSQLを採用している点など、多くの類似点がある。

PostgreSQL

PostgreSQLは、BSD Licenceの下で公開されているオープンソースのリレーショナルデータベース管理システムである。OSSのリレーショナルデータベース管理システムの中でも特に高機能なソフトウェアとして知られており、エンタープライズ環境にも対応可能である。以前までは動作速度に関してMySQLに及ばなかったが、最近ではパフォーマンスを改善しており、従来ほどMySQLとの差はなくなりつつある。

デージーネットの取り組み

デージーネットでは、LinuxやOSSに関連した書籍を多数執筆している。初心者でも分かりやすい基礎から学ぶための入門書から、実践的なガイドブックまで幅広く出版している。書籍の詳細は下記ページで紹介している。

また、以前は大変高額なサポート費用を必要としたデータベースサーバも、LinuxやOSSを利用すればライセンスが不要になることから、最近では企業内のサーバーやインフラでもOSSのデータベースが使われることが増えている。実際にデージーネットでも多くの企業にOSSを利用したデータベースシステムの構築を行った事例がある。デージーネットでは、LinuxやOSSに関する豊富な知見と実績を活かして、データベース管理システムなどの構築サービスを行っている。保守サポートも提供しているため、導入後も安心してシステムを運用することができる。

【カテゴリ】:データベース  オープンソースソフトウェア  

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