仮想サーバの利点を活用する
システム管理のつぼ(2015年9月号)
フロンティア開発部 高木 洋行
サーバの仮想化やクラウド化が進み、多くの企業や組織で利用されるようになりました。
システム管理者の中には、日常のシステム運用で物理サーバと仮想サーバを意識せずに運用を行っている人も多いのではないでしょうか?仮想サーバには物理サーバでは実現が難しいような機能が多くあります。
今日は仮想環境ならではの利点について紹介します。
(1)スナップショットで安全にフォールバックする
システム改修を実施する前に、改修後に不具合が発生した場合の方針(フォールバックプラン)を決めてから作業を行うのが一般的です。物理サーバであれば、システム復元の手順を事前に検証する必要があり、準備に時間を要するものです。
しかし、仮想サーバの場合には、スナップショットを利用することで、確実に作業前の時点へフォールバックを行う事ができます。
弊社が行うシステム改修作業でも、フォールバックが煩雑になる場合には、スナップショットを作成してから作業を実施します。万が一フォールバックを実施する場合でもシステム改修前の状態に即座に戻すことで、影響を最小限にとどめるようにしています。このようにスナップショットは、確実で安全かつ即時に対応できるフォールバックの選択の一つといえます。
(2)仮想サーバのコピーで検証環境を構築する
本番システムでの障害を再現したいもしくはシステム改修が必要な場合、本番システムと同等の検証環境が必要となる場合があります。物理サーバの場合には、ハードウェアを用意するところから始まるため準備の敷居が低くありません。
しかし、仮想環境には仮想サーバのイメージファイルを作成・デプロイを行うことで、検証環境を構築することができます。仮想環境では仮想マシンをファイルのように取り扱う事ができるため、複製を容易に行う事ができます。また本番システムのクローンであるため、検証の精度も上げることができます。
ここでポイントとなるのは似たような環境ではなく同等の環境であるということです。システム構成やソフトウェアのバージョン等が合わないと、障害などが再現しない場合があるからです。弊社のシステム保守においても、本番システムと同等環境で検証を行う事でより正確な結果を得るように作業を行っています。このように簡単に本番システムと同等環境を構築できるのも仮想化のメリットの一つといえます。