サーバ構築・構成管理ツール[Ansible]
今月の気になるオープンソース情報(2016年11月号)
OSS研究室 森 将史
今回の気になるオープンソースは、構成管理ツールAnsible(アンシブル)です。構成管理ツールとは、サーバの設定・構築手順を自動化するためのツールです。
構成管理ツールの有効性
プロバイダなどの、インターネットでサービスを展開している企業では、通信負荷によってサーバ台数を増減するようなシステムを運用する事があります。負荷が高まり、サーバの増設が必要となった時には、出来るだけ素早い対応が求められます。そこで構成管理ツールを導入することで、コマンドを1つ実行するだけで即座にサーバを構築することが出来ます。
構成管理ツールは、事前に構成の設定を準備しておき、それを読み込むことでサーバを構築します。同じ設定を使えば確実に同じ状態のサーバを構築できることも、大きなメリットと言えます。
Ansibleの特徴
構成管理ツールの中でもAnsibleは手軽に導入でき、使いやすく、多機能なソフトウェアです。これまで構成管理ツールを使ったことがない、と言った場合でも、Ansibleは気軽に試すことが出来ます。
- 導入準備が必要ない
- 初めての人にもわかりやすい
- 数百ものモジュールが公式に公開
Ansibleの利用には、事前準備はほとんど必要ありません。他の構成管理ツールでは、構築の対象となるサーバにまず専用のソフトウェア(エージェント)をインストールしておく必要があります。その必要がない事で、事前準備に時間をかけることなく利用することが出来ます。
Ansibleは、単に設定内容を列挙する形式で構成内容を記述できます。他の構成管理ツールの多くは、プログラミングの知識や独自の記法を学ぶ必要があります。専門知識を必要とせず、初めて使う人にも分かりやすくなっています。
Ansibleが実行できる処理は、モジュール形式で拡張できます。例えばMySQLモジュールを導入すればMySQLデータベースの操作をAnsibleによって行えるようになります。数百におよぶモジュールが公式に公開されており、また自作することも可能です。最近では様々なソフトウェアがAnsibleのモジュールを公開しており、複雑なサーバ構成を必要とするソフトウェアであっても、モジュールを使うことで簡単にインストール等を行うことが出来ます。
デージーネットでは、負荷によって規模を変更したり、将来の拡張が見込まれるなど、サーバ台数が可変なシステムを構築する際にはAnsibleを併せて提案していきます。Ansibleによって、お客様ご自身でサーバ台数の変更をしていただけるようになり、より柔軟な運用が可能となります。