【Cacti 1.x】リモートデータコレクターの機能が実装
今月の気になるオープンソース情報(2018年1月号)
OSS研究室 大野 公善
今回はCacti 1.xについて紹介します。
Cactiは、ネットワーク機器の統計情報を収集するためのオープンソースソフト
ウェアです。ネットワーク機器の統計情報を収集するために、かつてはMRTGと
いうオープンソースソフトウェアがよく利用されていました。
MRTGはSNMPを使用して各ネットワーク機器から統計情報を収集し、グラフ化す るためのツールです。MRTGには統計情報収集を行うための管理ユーザインタフ ェースがなかったため、システム管理者がテキストエディタを使って設定を行 う必要があり、難しい、煩わしいと思われている方もいるようでした。
このような背景もあり、CactiがMRTGに代わる統計情報収集ツールとして使われ るようになりました。Cactiは統計情報の収集やグラフ描画等の設定を管理ウェ ブインタフェースから行うことができます。グラフはMRTGで作成したものと似 ているので、MRTGに慣れている方にも違和感なく移行ができ、広く使われるよ うになっています。
一方、Cactiにも運用上の課題があります。
ネットワーク機器が増加して、統計情報収集対象が増えてくると、1台のCactiだけでは情報収集が追いつかなくなってきます。ところが以前のCactiには、
複数サーバに統計情報収集を分散するための機能が標準では実装されていませ
んでした。仕方なく統計情報収集の間隔を広げたり、まったく別なCactiシステ
ムをもう1セット構築したりするしかありませんでした。
そのような中、2017年にCactiのバージョン1.x版がリリースされました。Cacti 1.x版では、リモートデータコレクターの機能が実装されました。これは、 ひとつのCactiシステム上で、複数のデータコレクター(統計情報収集機能)を分 散するための機能です。
これを使うと、複数のデータコレクターが集めた統計情報を、ひとつのCactiで 管理することができるようになり、システム管理者は、ネットワーク機器の状 態を把握しやすくなります。統計情報収集対象機器が増えてきた時は、リモー トデータコレクターを増設することで対応ができます。
また、リモートデータコレクターに障害が発生しても、監視対象を他のリモー トデータコレクターに変更すれば、統計情報の収集を継続することができ、安 心できる構成にもなります。
デージーネットでは、統計情報収集ツールとしてCactiを提案しています。Cacti 1.xが利用できるようになってからは、ネットワーク機器の数が多い大 規模システムにも対応できるようになりました。
今後さらにIoTが普及し、ネットワーク機器が増えて来ることが予想できます。 大量ネットワーク機器の統計情報収集ツールとして、Cactiを検討してみては いかがでしょうか?