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Jitsiを利用したテレワーク環境(Web会議システム)の導入事例

OSS研究室 森 彰吾

今回は、デージーネットのテレワーク環境の導入事例です。

コロナ禍によるテレワークへの移行

2020年3月27日に新型コロナウィルス(COVID-19)感染症の流行に伴い、東京都知事より不要不急の外出の自粛要請が行われました。この要請に伴ってデージーネットの東京営業所に勤務する社員は、自宅からのテレワークに移行しました。

それまでのデージーネットのテレワーク体制

デージーネットでは、この問題が発生する以前から社外からアクセスするためのVPNや、コミュニケーションを円滑化するためのチャットシステム「Rocket.Chat」の導入を行っていました。またビデオ会議システムJitsiについても、名古屋-東京間の会議・画面共有などの目的で一部の部署だけで運用を行っていました。

数年前から紙ベースだった、出退勤や申請などの処理も、多くはWEBベースでの処理に置き換えが行われていました。つまり、テレワークに移行するための道具は、ある程度揃っている状態でした。

自粛要請からテレワーク開始まで

テレワークを開始前の課題

自粛要請の翌営業日、すぐに東京営業所をテレワークに移行することが決まりました。VPN等の環境が揃っているため、仕事の多くは進められる状態という見込みでしたが、社内や顧客とのミーティングが課題に上がりました。

そこで一部署で運用を行っていたビデオ会議システムJitsiを、全社的に利用できる形で導入することにしました。導入時の要件は、概ね次の通りです。

  • 東京の社員とそれに関わる名古屋の社員が同時に利用できること(同時接続10~20人規模)
  • 接続時に認証が行えること
  • 顧客とのミーティングが行えること
  • 顧客に対してワンタイムのID/パスワードが発行できること

この要件を満たすシステムを、「翌日まで」というスピード感を持って構築する必要がありました。

Jitsi導入にあたって

まずハードウェアの準備がすぐできないということや、外部のユーザも利用することが想定されるためクラウド上にJitsiを構築することにしました。インスタンスのスペックは、それまでの検証からt2.medium(vCPU2/メモリ4GB)を選定しました。

また認証については、ワンタイムパスワード等の作り込みを行う時間がなかったことから、簡単に設定・更新が行えるベーシック認証を暫定的に採用しました。現状は、運用的にパスワードの申請・発行を行えるようにしています。ベーシック認証自体はNginxの機能を使い、NginxがJitsiに対してのリバースプロキシとして動作する構成になっています。

Jitsiや周辺ソフトウェアの設定・試験は、テレワークが決定した日中に完了し、翌日にはテレワークに移行することができました。

導入後の課題と解決策

一つの会議ルームへの殺到

急なテレワークへの移行だったこともあり、運用ルールはほぼ決まっていませんでした。ルールとして決まったのは、テレワークをしている社員は、いつでも会話できるようにJitsiに常時つないでおくこと、というルールです。

このルールや、実務上会話を行うためなどの理由で、一つの会議ルームに10~20名程度の社員が同時に接続する状況が発生しました。かなりの人数が同時にお互いのカメラ・音声を共有している状態でしたが、Jistsi自体の負荷の数値は上がらず、サーバとしては良好な状態を保っていました。

問題はクライアントPC側で発生しました。WEBブラウザが多くの動画を処理している状態が発生し、クライアントPCが耐えきれず、画面が動かない等の問題発生しました。この問題は、いくつかの会議ルームに分けて利用する運用を行うことで、回避しました。

ネットワークの従量課金の問題

AWS環境であったため、ネットワークトラフィック自体が問題になることはありませんでしたが、予算を確保していない中でのトラフィックの従量課金は、厳しいものがありました。そのため、トラフィックも費用固定で利用できるConoHaのサービスを利用することにしました。ただConoHaのサービスは、ネットワーク帯域が100Mbpsという制約がありました。

そこでJitsiのデフォルトの動画解像度を少し下げ、ネットワークトラフィックが肥大化しないよう調整を行いました。

導入後の結果

テレワークへの移行決定から導入まで、非常に素早い対応が行えたため、業務に大きな影響を与えることなく、テレワークを実施することができました。現在もテレワークの状態が持続していますが、Jitsiを含めたテレワークのシステムは良好に稼働しています。

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