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RHELのクローンOS〜AlmaLinux〜

OSS研究室 森 彰吾

今回は新しいRed Hat Enterprise Linux(以下RHEL)クローンOS「AlmaLinux」について紹介します。

CentOS8の終了とAlmaLinuxの誕生

2020年末、CentOSプロジェクトがCentOS8のサポートを2021年12月末で終了することをアナウンスしました。このため、多くのシステムで利用されていたCentOSは、今後は実質的に利用し続けることが困難になりました。この流れを受けて、新しいRHELクローンの開発プロジェクトがいくつか発足しました。AlmaLinuxプロジェクトもその中の1つです。

AlmaLinuxプロジェクトは、CloudLinux Inc.という企業が母体になって開始されたプロジェクトです。CloudLinux Inc.は、既にRHEL/CentOS互換のCloudLinux OSを提供している実績のある企業です。この知見を活かしてAlmaLinuxの開発を行っています。ただし、CloudLinux Inc.はスポンサーの立場で、AlmaLinuxは独立したコミュニティによって開発されていると表明されています。

AlmaLinuxは、2021年に発足したCentOS代替OSのプロジェクトとしていち早く活動を開始しました。プロジェクトとして、RHELと1対1のバイナリ互換であることや、OSSであること、コミュニティがプロジェクトを運営すること、2029年までサポートすることを表明しています。

そして2021年3月30日にAlmaLinux 8.3が正式リリースされました。

AlmaLinuxとRHEL/CentOSとの違い

AlmaLinuxはRHELのクローンOSです。このためインストーラからソフトウェアパッケージ、操作感まで全く同じです。違いは名前やロゴの画像程度です。このため、RHEL/CentOSに慣れたユーザであれば、同じように利用することができます。

しかしCentOSとだけ比較すると、AlmaLinuxが優位な部分があります。RHELでは、ソフトウェアパッケージの更新情報をソフトウェアリポジトリで提供しています。CentOSの場合、この情報提供は存在しません。対してAlmaLinuxではセキュリティ情報が提供されているため、yumやdnfコマンドでセキュリティ情報や脆弱性のレベルを確認することができます。また、脆弱性のレベルを指定して限定的なアップデートを行えるようになっています。

AlmaLinuxのソフトウェア提供体制

AlmaLinuxは正式リリースしてから約1ヶ月ですが、既に33ヶ国にソフトウェアリポジトリのミラーサーバが存在します。日本にも8サイトのミラーが存在するので、比較的高速にソフトウェアのダウンロードを行うことができるようになっています。

AlmaLinuxのアップデート提供スピード

AlmaLinux8とCentOS8のソフトウェアリリースの速度を比較したところ、AlmaLinuxはCentOS同等の速度でソフトウェアがリリースされていることがわかっています。まだリリース後、1ヶ月のため比較できる対象が少ない状態ですが、比較した中でもAlmaLinuxのほうが先にリリースを行い、CentOSでは未リリースのソフトウェアも存在しています。

AlmaLinuxの運営が開始されて間もないことを鑑みると、かなりレベルの高い運営が行われていることが推測できます。

CentOS8からAlmaLinux8への移行

AlmaLinuxプロジェクトでは、CentOS8からAlmaLinux8への移行ツールを提供しています。既にインターネット上で、このツールやCentOS8からAlmaLinux8への移行に関する記事が散見される状態です。

デージーネットでは、より実環境に近い比較的複雑な環境での移行を検証しました。

  • Apache HTTP Server/php-fpm/phpMariaDB
  • postfix/dovecot
  • Pacemaker/Corosync/DRBDによる2ノードのHAクラスタ

特にHAクラスタ関連のパッケージは、弊社で独自にビルドしたものを利用したり、移行で問題になりそうなディストリビューション提供外のカーネルモジュール(DRBD)を、利用している状態で検証を行いました。

このような環境でも、1台あたり約20分程度で入れ替えが完了し、その後特に問題はありませんでした。もちろん本番環境の移行前には検証やバックアップなどが必要ですが、移行についても一定の安定感があることがわかっています。

その他のCentOS代替OSとAlmaLinux

AlmaLinuxの他にも、Oracle LinuxやAmazon Linuxなど企業が主導して開発を行っているRHELクローンOSがあります。またAlmaLinuxと同様に2021年からコミュニティベースで開発されているRockey Liuxが存在しています。

CentOSの終了の背景には、企業が関わっているという見方が強く、CentOSの乗り換え先としてコミュニティベースであることが重要視されている状況があります。この中で企業色の薄いRockey Linuxが有望視されていましたが、Rockey Linuxは4月30日にRC版がリリースされたばかりです。正式リリースのスケジュールも公開されていません。

AlmaLinuxはCloudLinux Inc.がスポンサーでありながらも、コミュニティベースを謳っていることや、すでに各国のミラーサイトが対応を開始したり、AWSのOSイメージが提供開始されたりと着実に普及が進んでいます。また別の観点から、CentOS8ユーザは2021年末までに移行を行う必要があり、移行先の選定や方針決定のタイムリミットが迫っている状況です。このような状態であるため、今後AlmaLinuxを選択が増えていくことも予想されます。

デージーネットの取り組み

デージーネット社内でAlmaLinuxの動作確認や、パッケージ提供の速度などを調べることでAlmaLinuxに一定の安心感を得ることができています。まだ継続して観察が必要ですが、喫緊の課題としてCentOS8の乗り換えを行わなければいけないシステムに関しては、AlmaLinuxが有力候補であると考えています。今後は、この後リリースされるRockey Linuxとの比較も行っていきたいと考えています。

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CentOS8の代替えOS〜AlmaLinux〜

OSS情報(AlmaLinux)

CentOS8のサポートが2021年末で終了するとアナウンスされ、これを受けて新しいRHELクローンの開発プロジェクトがいくつか発足しました。AlmaLinuxはその中の1つで、他のプロジェクトより一足早く、2021年3月30日に正式版がリリースされました。

デージーネットからのお知らせ

SaMMAadminの管理者用オンラインストレージについての情報を追加しました。

https://www.designet.co.jp/open_source/sammaadmin/

CentOS8からの移行検討の一助にCentOSの代替として注目される『AlmaLinux』の評価を公開、2021年6月18日に無料WEBセミナーも開催

https://www.designet.co.jp/info/?id=447

無料資料ダウンロードに【AlmaLinux調査報告書】を掲載しました。

今までは、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)のクローンOSとしては、CentOSがスタンダードでした。しかし、2020年12月8日に、CentOSプロジェクトがCentOS8のサポートを2021年12月末で終了することをアナウンスしました。本書は、Red Hat Enterpirse Linux 8のクローンOS「AlmaLinux 8」の調査報告書です。

https://www.designet.co.jp/download/#OS

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