資産管理をWEBインターフェースで〜OSSの資産管理Snipe-IT〜
OSS研究室 森 彰吾
今回はSnipe-ITを紹介します。Snipe-ITは、WEBインターフェースで資産管理を行うためのソフトウェアです。ここでの資産は、企業等が保有する物品(ノートパソコン・プリンタ・ソフトウェア・ライセンス等)のことを言います。
資産管理の課題とSnipe-IT
企業の資産・物品の管理では次のような問題が発生しがちです。
- 社内にどれだけの資産があるのか管理できていない
- どの機器をだれに貸しているのか管理できていない
- ハードウェア/ライセンスの更新時期がわからない
- 前回購入時の時期や金額がわからない
- 消耗品の残数がわからない
- Excelの資産管理表に書いてある資産の名前や番号では、実物が特定できない
Snipe-ITを利用することで、このような課題を解決できます。Snipe-ITの基本的な機能は次のような内容です。
- WEBインターフェース上からの資産登録(一括登録も可能)
- 資産のカテゴライズ
- 資産の検索
- 資産と人・場所の紐付け
- 印刷用の資産ラベル(バーコード・QRコード)の一覧表示
- 資産の監査
Snipe-ITの特色
様々な資産を管理可能
資産管理のソフトウェアは様々存在します。ただオープンソースで利用できる資産管理システムは、どうしてもIT資産に特化したものが多いのが現状です。Snipe-ITも、IT資産管理のために使うことはできますが、自由に資産のカテゴリを決めたり、運用上必要な独自の情報を登録するための仕組みが備わっています。
また現状、Excel等で独自に資産を管理しているケースであっても、ExcelをCSVに変換することで、Snipe-ITに一括登録をすることが可能です。一括登録も会社独自の情報などに、比較的柔軟に対応できるようになっています。
つまり、Snipe-ITを使うと現状の運用方法を維持しつつ管理を効率化したり、管理精度を上げることができます。
消耗品やライセンスを管理可能
Snipe-ITでは、消耗品やライセンスなどは登録しておくだけでなく、残数の管理ができるようになっています。
例えばプリンタの用紙を100セット購入した場合、Snipe-ITにプリンタ用紙の個数を100と登録します。実際にプリンタ利用するときにWEBインターフェースで、消費の処理を行うと残数がひとつずつ減っていき、ひと目で残数がわかるようになります。
さらに残数のしきい値を予め決めておくことで、残数が少なくなった場合にアラートメールを管理者に送信することもできます。もちろんライセンスなどは、消費するだけでなく返却するケースもあるので、そのような表現もできるようになっています。
資産の判別がしやすい
資産を名前や型番だけで管理していると、実際の物がどのようなものなのかわからないことがあります。特に一般になじみのない特殊な機器・物品であれば、なおさらです。Snipe-ITは、資産の画像を登録することができるため、その物の色・形を知らなくてもSnipe-ITの画面を見ればわかるようになっています。
保証期間の管理が可能
PC等の機器やソフトウェアのライセンスの多くは、保証期間や有効期間が存在します。期間を過ぎて使用していると、機器の故障の際に修理を受けられない等の問題が発生します。さらに保証期間が迫っていることに気づくのが遅れると、予算の計上が間に合わないなどの自体も発生します。
Snipe-ITでは、予め保証期間を登録しておくことで、保証期間の近づいた資産のアラートを送信することができます。
資産の実際の状態を管理しやすい
Snipe-ITは、資産ごとにQRコードを発行できるようになっています。このQRコードは、印刷して資産に貼っておくためのものです。QRコードをスマートフォンで読み取ると、対象資産のSnipe-ITの管理画面を確認できます。この機能を活用すると、資産の棚卸しがしやすくなります。
例えば、資産の管理者がスマートフォンを持って、Aさんが持つPCのQRコードを読み取ります。するとスマートフォンのWEBブラウザにSnipe-ITの画面が表示され、資産の情報を確認できます。そこで、実はそのPCを貸し出したユーザはBさんであり、Bさんが又貸ししてAさんに渡っていた、というような状況に気づくことができます。
またSnipe-ITでは、このような棚卸し(監査)の日付を記録することもできるようになっているため、いつ最後に確認したのか、次はいつ確認するのかなどを管理することもできます。
最後に
Snipe-ITは、単純に資産の情報を登録するだけの資産管理ではなく、資産ごとの特徴を捉えて運用をしやすいように作られたソフトウェアです。Snipe-ITを使うことで、社内の煩雑になっている物品管理を整理できるのではないでしょうか?
ただSnipe-ITにもいくつか問題はあります。例えば日本語の翻訳がおかしいなどです。デージーネットでは、このような問題を修正し、よりお客様の使いやすい形でSnipe-ITの提案を進めていこうと考えています。
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