OSSのBIツール〜Apache Superset〜
OSS研究室 森 彰吾
今回はApache Supersetを紹介します。
Apache Supersetは、ダッシュボードツールやBIツールなどと呼ばれるソフトウェアです。 つまりデータベースの情報を可視化して、分析に役立てるためのツールです。Apache Supersetは、その名に冠する通りApacheソフトウェア財団のプロジェクトの一つです。2017年にApacheソフトウェア財団のプロジェクトに参加する前の段階、インキュベータープログラムに参加し、2021年にトップレベルプロジェクトに昇格しました。
開発初期段階においては、他のOSS系のBIツールと比較して非常に使いにくいものでした。しかし、昨今において大幅に改善が行われています。
Apache Supersetの特徴は次の通りです。
Apache Supersetの特徴
WEBブラウザで操作可能
最近のBIツール・ダッシュボードでは当たり前ですが、WEBブラウザで操作が可能です。場所や端末にとらわれることなく、作業することができます。
SQLデータベースに強い
Apache Supersetは、MySQLやPostgreSQLに代表されるRDBMSや、SQL互換のインタフェースを持つデータベースの多くに対応しています。その種類はクラウドサービスのデータベースも含めて約30種類に及びます。古くから使われている上記のMySQLなど以外にも、GoogleのBig QueryやAmazonのRedshiftなどにも対応しています。
またElasticsearchやApache Solrなど、ソフトウェア自体ではなくSQLのインタフェースが別で実装されているものについても、対応可能データーベースにリストアップされています。現在では、様々なデータベースやサービスが存在し、企業のデータ管理もニーズに合わせて多様化しています。NoSQLの勃興もありましたが、SQLというインタフェースを搭載するデータベースが多いこと、またそれを利用する人が多いのも事実です。
多彩な可視化方式
Apache Supersetは、データの可視化、つまりグラフ等の作成機能を備えています。BIツールでは当たり前の機能ですが、可視化の種類が約60種類と非常に多いのが特徴です。各種類毎に細かい表示のオプションなども用意されており、データややりたいことに合わせてグラフを作ることができます。
データの追加・更新が可能
Apache Supersetは、WEBインタフェースからデータの追加が行えます。SQLで直接追加・更新の処理を行うこともできますし、CSV形式でデータをアップロードすることも可能です。データベースに溜まったデータだけでなく、手元にあるデータをその場で登録して可視化するという使い方ができるので非常に便利です。
権限による操作の制限が可能
Apache Supersetはユーザに権限をもたせることができます。機能毎の参照や更新の権限に加えて、画面のメニューの表示なども制御できるようになっています。全体で200を超える細かい権限を組み合わせて、運用に合わせたロールを作ることができます。
権限を制限することで、例えば特定のデータのダッシュボードのみを参照できるユーザを作る、というようなことができます。
日本語対応が可能
Apache Supersetは多言語に対応しています。日本語の翻訳は途中段階ですが、日本語への切り替えはすでに実装されています。またプログラマにとって、比較的日本語化のハードルが低い仕組みになっているため、今後の対応が期待できます。
全ての機能がOSS
OSSのBIツールは数多く存在しますが、その多くが企業主体で開発されています。企業主体のツールは、いわゆるオープンコアモデルのビジネスのために公開されているため、機能などになんらかの制約が存在するケースが大半です。
対してApache Supersetは、Apacheプロジェクトのひとつであるため、企業の影響を受けにくいソフトウェアです。もちろん全ての機能がOSSとして公開され利用できます。ライセンスもApache License, Version 2.0であるため、商用利用も可能です。
Apache Supersetの課題
多くの機能・利点を持つApache Supersetにも課題があります。
- 管理者はSQLやデータベースに関する深い知識が必要
- 細分化された権限の説明がなく、推測するしかない
- 日本語化対応が途中
データベースの知識を要求するのは、多くのBIツールで共通の課題です。ただApache Supersetは管理する側と閲覧する側を、権限の設定で分離できるため、充分実運用が可能です。ただその権限設定に関しては、ほぼマニュアル化されていないため、権限の名前や実際の動きを見て判断せざるをえず、まだ使いにくい状態であると言えます。
デージーネットでは
デージーネットでは、過去Grafana/Metabaseなどのダッシュボードツールを取り上げてきました。それらのツールと比較してApache SupersetはSQLに特化しているため、MySQLやPostgreSQLに溜まったデータの分析・可視化などの課題に対して非常に有効であると考えています。ただ日本語や権限周りに難があるため、今後翻訳作業に貢献したり権限周りの調査を行いドキュメント化することなどを検討しています。
関連ページ
Apache Superset〜可視化に優れたOSSのBIツール〜
BIツールとは「ビジネスインテリジェンスツール」の略で、蓄積されたデータを分析、可視化して業務に役立てるソフトウェアのことです。ここでは、OSSのBIツールの一つであるApache Supersetを紹介します。
デージーネットからのお知らせ
社内のコミュニケーション活性化!OSSのチャットシステム「Rocket.Chat」ご紹介セミナーを開催します。
今回は、オープンソースソフトウェア(OSS)のチャットシステムRocket.Chatをご紹介します。
- 日程:2022年3月25日(金)
- 時間:15:00〜16:00
詳細↓↓
https://www.designet.co.jp/seminar/seminar.php?seminar_id=65
無料資料ダウンロードに【Apache Superset調査報告書】を掲載しました。
Apache Supersetは、データの検索や可視化を行うためのBIツールの一種です。MySQLやPostgreSQL等のRDBMS のほかに、約40種類のデータソースを扱うことができます。本書は「Apache Superset」についての調査報告書です。
https://www.designet.co.jp/download/#operation
『メールセキュリティ対策調査』についてのプレスリリースがSecurityInsightに取り上げられました!
https://www.designet.co.jp/info/?id=498
NextcloudのプラグインアプリRcConnectとReserveRoomについてマニュアルを追加しました。
https://www.designet.co.jp/open_source/
日本企業のメールセキュリティ対策調査結果40%以上の企業でメールセキュリティ改善が進まず働き方変化に伴うセキュリティ強化を推進
https://www.designet.co.jp/info/?id=494
メールサーバの安全性を無料でチェックできるサイトを公開しています。
メールセキュリティへの関心が高まる中、メールセキュリティのチェック項目を整理して、誰でも簡単にチェックできるツールはありませんでした。本サイトでは、メールアドレスを入力するだけで、メールサーバのセキュリティを無料でチェックできます。