ローコード/ノーコードツールと連携して帳票出力できるOSS〜CarboneJS〜
OSS研究室 森 彰吾
今回は、システムに保存されたデータを使ってWordやExcelのファイルを生成することができるOSS、CarboneJSを紹介します。
システム上のデータを出力する際の課題
昨今、様々なデータをWebブラウザで操作するシステムが増えています。ただ、それを他者に提示する場合、Office形式にしたり、紙の書類として印刷したりする必要があるのが現状です。
しかし、システムにデータをファイル化してダウンロードする機能が無い、出力する際のフォーマットをうまく変更できない、といったケースも多々あります。この場合、独自のフォーマットのファイルに手動でデータを転記しなければなりません。こうした手動での転記は時間がかかるうえに、ミスを誘発します。
CarboneJSを使うことで、システムのデータを使ったファイル作成を自動化し、作業の効率化と品質向上を実現することができます。
CarboneJSとは
CarboneJSは、Microsoft OfficeやLibre Officeなどのテンプレートから、自動的にファイルを作成するためのプログラムライブラリです。CarboneJSの主な用途は、別のシステムと連携し、自動的にドキュメントを作成することです。例えば、売上や見積を管理するシステムに保存されたデータを使って、様々な形式のドキュメントを生成することができます。
CarboneJSの利用方法
CarboneJSは、Node.jsと呼ばれるプログラム言語のライブラリであるため、利用には一定のプログラム知識が必要です。しかし、使い方としては非常に簡単です。公式マニュアルにある数十行のプログラムコードをコピーすれば、基本的な動きは実現できてしまいます。
また、プログラム以外に用意するものとして、作成するファイルの雛形(テンプレート)となるWordやExcelのファイルがあります。このファイルは特殊なものではなく、通常のWord/Excelのソフトウェアで作成可能です。文章や表のレイアウトを決めて、データを置換する「タグ」と呼ばれるキーワードを書いておくだけで完成します。タグは「{d.user}」のような形で、このキーワードが他のシステムから渡されるデータの内容に応じて置換されます。
文章だけではなかなかテンプレートや作成されたファイルのイメージが難しいですが、実際のイメージについては、CarboneJS調査報告書に掲載しています。そちらで画像を確認していただくと、より利用イメージが明確になると思います。調査報告書は、弊社のホームページから無料でダウンロード可能です。
CarboneJSの活用例
CarboneJSを最も有効活用できる場面は、ローコード/ノーコードソフトウェアとの連携です。ローコード/ノーコードとは、プログラムコードをほとんど使用せずにアプリなどを開発する手法のことです。現在、ローコード/ノーコードソフトウェアの多くは、WEBブラウザで手軽にシステムを開発するために利用されています。しかし、システムよってはデータダウンロードに関する機能が弱く、データのファイル化には前述したような手動転記が必要になります。
ただ、一般的なローコード/ノーコードソフトウェアは、外部のシステムと連携する機能を持っています。これを利用して、ローコード/ノーコードソフトウェアでシステムを作り、管理しているデータをCarboneJSに渡すことで、レポートや帳票などのドキュメントを作成することができます。
デージーネットでは
デージーネットでは、ローコード/ノーコードソフトウェアとの連携の実験として、株式会社インプリムが開発する「Pleasanter」とCarboneJSを組み合わせました。結果として、データ登録からファイル作成、ダウンロードまでをPleasanterの画面上で操作することができました。今後は、お客様のご要望に応じて、他のシステムとの連携なども検討してまいります。
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