BINDの管理方法を引き継いだPowerDNS導入事例
ソリューション開発部 加茂 智之
今回は、情報通信サービス業のお客様向けに、DNS権威サーバの構築を行った事例です。お客様はもともとDNSサーバとしてBINDを利用していましたが、BINDではセキュリティ面の問題がありました。一方で、DNSゾーンデータの管理はBINDのようなテキストファイルの方が自社の運用方針に合っていたため、デージーネットでは、権威DNSサーバとしてPowerDNSを導入しながら、これまでに近いDNSサーバ管理が行える方法をご提案しました。
お客様が悩まれていた課題
お客様には以下の課題がありました。
- BINDはセキュリティ面で不安がある
- 自社の運用ポリシーでは、データベースによる管理だと運用しにくい
- 2台のサーバが同一拠点にあるため、サービスの継続性に不安がある
デージーネットからの提案
デージーネットからは以下の2つを提案しました。
PowerDNSを導入し、ゾーンデータの保存にはテキストファイルを利用する
PowerDNSは、オープンソースのDNSサーバです。権威DNSサーバとキャッシュDNSサーバの両方の機能をサポートしていますが、BINDと違いそれぞれが別々のプロセスとして動作する構成になっているため、キャッシュポイズニング攻撃などの影響を受けにくいのが特徴です。
また、PowerDNSではゾーンデータの管理にデータベースを利用している場合、管理用のWebインターフェースを使用してゾーンの設定やユーザ管理を簡単に行うことができます。
ただ、お客様はDNSサーバの運用をする上で、ゾーンデータを一時的にコメントアウトしたり、データをバックアップし変更履歴を保存したりする作業が必要で、PowerDNSのデータベースによる管理ではこれらの作業が難しいという課題がありました。そこでデージーネットでは、ゾーンデータの管理方法はそのままBINDのテキストファイル管理を引き継ぐことをご提案しました。
片方のサーバをホステッド型プライベートクラウド上に配置
お客様の同一仮想基盤上で2台のDNSサーバを稼働させていましたが、万が一障害が発生した場合、サービスが停止してしまう恐れがありました。そこで、1台のサーバはお客様の仮想基盤上に、もう1台のサーバはインターネット上のクラウドサービスで提供されているプライベートクラウド上に配置することをご提案しました。
導入時の工夫
導入にあたって以下を工夫しました。
プライマリサーバは、一旦セカンダリサーバとして稼働させてから移行
プライマリサーバを移行する際は、新規サーバを一旦セカンダリサーバとして稼働させ、ゾーン転送を行うことにより移行しました。そのため、既存サーバにゾーンデータの変更があった場合でも、新規サーバに随時変更が反映しながら移行を行うことができました。
セカンダリサーバは、既存のサーバと並行稼働させて順次移行
セカンダリサーバを移行する際は、既存サーバと新規サーバを並行で稼働させながら移行しました。これにより、ドメイン単位で順次移行作業を行うことができました。
導入後の結果
権威DNSサーバとしてPowerDNSを導入し、キャッシュDNSサーバは別のサーバに分離したことで、BINDよりもセキュアな設定がしやすくなりました。一方で、ゾーンデータの保存先はこれまで通りテキストファイルを利用することで、自社の運用方針に合わせて設定を調整しながら、DNSサーバを運用することができています。さらに2台のサーバを別拠点で稼働させることで、障害が発生した場合でも安心してDNSサービスを継続できるようになりました。
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