DHCPadmin〜DHCPサーバの情報をWebUIで設定〜
通常、企業のネットワークや家庭のインターネットを利用する際、パソコンなどの端末ごとに、有効なIPアドレス等の情報をその都度取得しなくても、自動でネットワークに参加可能な状態になります。これはDHCPの機能を利用しているからです。DHCPの機能を利用するには、クライアントへIPアドレスを割り振る側となるDHCPサーバが必要です。しかし、ISC DHCPのようなOSSのDHCPサーバでは、専用の設定画面が用意されていないものが多く、DHCPの設定や管理が面倒で管理者の手間がかかるという問題があります。
この記事では、DHCPサーバの設定をWebアプリケーションから簡単に行うことができる、弊社が開発したDHCPadminの導入メリットや機能を紹介します。
DHCPサーバとは何か?
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)とは、LANの中のネットワークに接続するパソコンなどの機器が起動した際、IPアドレスやルーティングなどの必要な情報を自動的に割り当てるプロトコルのことをいいます。DHCPは、あらかじめ設定した使用可能なIPアドレスから、未使用のIPアドレスを選んでクライアントへ割り振ることができます。DHCPの仕様はIPv4とIPv6で分けられており、それぞれDHCPv4、DHCPv6とも呼ばれます。IPv4はRFC2131、IPv6はRFC3315で規定されています。
DHCPの仕組みを利用することで、クライアントとなる1台1台の機器にユーザが手動でIPアドレスを割り当てなくても、固定のIPアドレスの設定を自動化することができます。そのため、設定方法に詳しくないユーザーでも簡単にネットワークに接続できるようになり、管理者の負担軽減に大きく貢献しています。
この仕組みを利用するためには、DHCPサーバが必要になります。ケーブルテレビ、公衆無線LAN、ISPに接続する場合にDHCPを利用してネットワーク設定を行うのが一般的で、ブロードバンドルーターなどにDHCPサーバが内蔵されている例も多いです。
DHCPの設定における課題
クライアントが数台であれば、ルーターをDHCPサーバとして利用することができます。一方で、通信事業者など大量のクライアントを管理する場合は、別でDHCP専用の役割を持ったサーバやネットワーク機器が必要です。ただし、製品として提供されているDHCPサーバであれば設定画面が用意されていますが、OSSでは設定画面が無いものが多く、設定や管理に手間がかかるため利用しにくいです。また、近年はセキュリティ強化のため、パソコンのMACアドレスをDHCPサーバに登録することで、利用できるパソコンを制限するという方法が一般的となり、これもシステム管理者の重荷となっています。
「DHCPadmin」とは
DHCPadminは、DHCPサーバの設定ファイルをWebインターフェース上で更新、適用するためのWebアプリケーションです。デージーネットが開発を行い、オープンソースソフトウェアとして公開しています。なお、利用するためには、同じようにオープンソースで公開しているpostLDAPadminをインストールした環境が必要です。
DHCPadminのメリット
導入メリットとしては以下のような点が挙げられます。
設定方法が簡単
DHCPadminでは、専用のWebサイトへログインし、画面に表示される手順に沿ってネットワーク設定を行います。マウスのクリック操作による直感的なインターフェースを使い、設定ファイルの更新・管理を比較的簡単に行うことができます。複雑なコマンド入力を実行する必要がないので、設定・管理におけるハードルを下げることができます。また、後でサーバやネットワーク機器が増えた場合でも、簡単に対応することができます。
ファイルの記述ミスの防止
アプリケーションから設定ファイルを更新するため、設定ファイルを間違った書式で入力するといったミスがなくなります。
クライアントの一括登録
CSV形式のファイルを参照することで、複数のクライアント情報をまとめて登録することができます。
迅速なクライアント対応を実現
リース情報検索機能によって、クライアントへのリース期間などの情報の確認と、障害時の対応が容易になります。
DHCPadminの機能
設定画面では、次のような項目をチェックしたり設定したりすることができます。
- Shared-network設定
1つのネットワークに複数のサブネットがある場合、Shared-networkの作成・削除・変更を行うことができます。各サブネット名を選択し、Shared-networkへの所属・未所属を登録することが可能です。
- サブネット設定
対象となるサブネットの登録、削除、変更を行うことができます。設定できる項目は、ルータ、ドメインの名前、DNSサーバアドレスなどのサブネット情報や貸出範囲です。貸出範囲では、サブネット内でホスト情報を貸し出す領域を指定できます。
- クライアント設定
クライアント情報の登録、削除、変更、検索を行うことができます。MACアドレスによってIPアドレスを固定する設定も可能です。また、CSV形式のファイルを参照することで、複数のクライアント情報を一括登録することも可能です。
- 貸出情報検索
IPアドレスまたはMACアドレス(IPv6の場合はDUID)によってリース情報の検索や確認を行うことができる機能です。貸出日、貸出期限、検索値(IPアドレス、またはMACアドレス)を入力し検索すると、貸出日時、MACアドレス、IPアドレス、貸出期限といった検索結果が確認できます。また、検索結果はCSV形式でダウンロード可能です。
- 設定適用
各種変更の完了後、DHCPサーバに設定を適用できます。
また、 上記の他にもサブネットマスクやデフォルトリース時間、DNSサーバ設定などのsubnetオプションを適用することもできます。subnetオプション以外のオプションなどの項目は、手動での設定が必要となります。
デージーネットの取り組み
デージーネットでは、DHCPサーバの構築サービスを行っています。全国のケーブルテレビ局など、多くのインターネットサービスプロバイダ様のシステム構築を行った実績があります。これらの経験を活かし、お客様のご要望に合わせたもっとも費用対効果の高い方法を提案します。また、新しい技術にも積極的に対応しています。弊社で構築を行ったシステムは、導入後支援サービスとして保守サポートに加入することもできます。このサービスでは、ソフトウェアの利用方法に関するQ&Aやセキュリティ情報提供、障害調査、回避を行っています。