Etherpad〜OSSのリアルタイムオンラインテキストエディタ〜
リアルタイムオンラインテキストエディタとは、Web上で複数人でテキストに書き込み・編集ができるツールをいいます。オンラインテキストエディタは、自分一人の利用だけではなく、チームでの利用でも役立つツールです。例えば会議の際に参加者で共有し、共同で議事録を書くといった使い方などさまざまな利用方法が考えられます。ここでは、オープンソースソフトウェアのリアルタイムオンラインテキストエディタEtherpadを紹介します。
オンラインテキストエディタ Etherpadとは
Etherpadとは、オープンソースソフトウェアのリアルタイムオンラインテキストエディタです。ライセンスは、Apache License v2で公開されており、現在はEtherpad Foundation.が開発を行っています。公式ページでは、Linux OSやWindows OS用のソフトウェアが掲載されており、Docker hubには、Docker imageが提供されています。また、105の言語に対応しており、Etherpadは、リアルタイムにオンラインでテキストの共同編集を行うことができます。
Etherpadの特徴
オープンソースソフトウェアのオンラインテキストエディタであるEtherpadの特徴は、以下になります。
手軽に利用できる
Etherpadは、Etherpadの公式ページからソースコードをダウンロードすることで、非常に簡単にインストールを行うことができます。そして、作成するドキュメント名をいれて新規作成ボタンを押すことで、パッド(Pad)と呼ばれる共同編集ドキュメントをTOP画面から作成することができます。パット名を入力するだけで始められるので手軽に利用が可能になります。Etherpadの標準機能では、シンプルな機能しか存在しません。また、編集画面もシンプルなデザインになっており、Office系のソフトウェアやメモ帳、既存のテキストエディタを使用した経験があれば、初めての利用でも直感的に使うことができます。
会議やレビューの場で利用が可能
Etherpadは、同じパッドをリアルタイムに複数人で編集することができます。複数人で編集した場合、文書のインポートやエクスポートができるため、会議やレビューの場で便利に利用することができます。Etherpadには、チャット機能も付随しているため、オンラインで共同で編集しながら、チャットでメッセ―ジのやり取りが可能になります。
プラグインによる機能追加が可能
Etherpadは、手軽に利用できる分、標準ではシンプルな機能しかありません。しかし、プラグインを利用することで機能を増やすことが可能です。Etherpadのプラグインは、管理画面から簡単にインストールすることが可能です。
Etherpadの機能
テキストの共同編集
複数人でテキストの共同編集を行うことができます。複数人で編集した場合、どのユーザが書き込んだかがわかるようにそれぞれ色分けがされます。自分が書いたものと、他の人が書いたものは簡単に区別することができます。色分けの機能は、設定で無効化することも可能です。
テキストの見た目の変更
テキストの見た目を太字や斜体に変更したり、下線を引くことが可能です。Etherpadには、次のような編集機能が存在します。
- 太字
- 斜体
- 下線
- 打ち消し線
- 箇条書き
- インデントの変更
- undo/redo
- 編集者の表示・非表示
エディタの基本の機能を利用できるので、見やすい資料を作成できます。
プラグインにより機能追加が可能
プラグインを追加することにより、文字のサイズや色、見出しを付けることが可能になります。
文書のインポート・エクスポート
Etherpadは、次のようなファイルをインポートすることが可能です。
- txt
- docx
- odf
また、作成したパッドをテキストやHTML等に変換してダウンロードすることができます。また、Etherpadが動作するサーバにLibreOfficeと日本語フォントをインストールすることで、WordやODF形式、PDFに変換することも可能です。
バージョン管理
Etherpadは、編集状態をバージョン管理することができます。バージョンの保存は、文字の入力が終わった後自動的に行われます。また、画面からバージョン保存をすることも可能です。画像のボタンをスライドさせることで、前のバージョンに簡単に表示することが可能です。
Etherpadの主なプラグイン
現在、Etherpadには、200件を超える数のプラグインが存在します。しかし、その中には動作が不安定なものも多くあるため注意が必要です。200件のプラグインの中から利用できそうなものを紹介します。
Etherpadの管理に関するプラグイン
- adminpads
管理者画面でパッドの一覧の表示または、削除をすることができます。
- mypads
独自のユーザ管理を行いEtherpadを管理することができます。
- ldapauth
LDAP 認証の機能を提供することができます。
- delete_after_delay
指定時間後にパッドの内容を強制上書きして内容を削除することができます。
- disable_chat
チャットを無効化することができます。
- disable_imports
インポート機能を無効化することができます。
Etherpadのパッド動作に関するプラグイン
- align
文章のアライメント調整をすることができます。
- font_size
フォントサイズの変更機能を追加することができます。
- font_color
フォントカラーの変更機能を追加することができます。
- heading2
見出し機能を追加することができます。
- table_of_contents
見出しに応じて目次をつけることができます。
- dividing_line
線を描画することができます。
Etherpadの認証プラグイン
- hash_auth
パスワードファイルを不規則な文字列に変換するハッシュ化を行うことができます。
- oauth
oAuthによる認証を行うことができます。
- openid_connect
OIDCによる認証を行うことができます。
Etherpadを利用する上での課題
Etherpadは、手軽に利用できる反面、以下の課題があります。
認証のための機能が少ない
Etherpadには、最低限の認証機能しか存在しないため、実質的に外部の認証機能が必須となります。認証機能をAPIで実装することも可能ですが、ハードルが高くなっています。
作成されたデータの削除機能が無い
パッドの削除はプラグインを導入することで削除可能ですが、管理者による操作が必要になります。
上記の課題から、データの削除が上手く行えないため、その場限りの情報という扱いが難しいことや、認証を有効にした場合、ユーザアカウントが必要なため、組織外のユーザを参加させるのが難しくなります。そのため、現時点では組織内での利用に限られるということになります。
課題の解決策
先ほど記載した課題より、Etherpadに求められるのは、WEB会議システムのようなワンタイムの認証です。パッドを作成するための認証や、パッドの編集に参加するための認証機能が必要となります。しかし、そのようなプラグインはないため、Etherpadのライブラリを利用してのプラグイン開発が求められます。Etherpadは、プログラムのフック機能なども用意されており、ドキュメント化されています。この情報とEtherpad 本体、既存のプラグインのコードを参考にすることで開発が可能になります。
デージーネットの取り組み
デージーネットでは、新規のパッド作成時にURLとアクセスパスワードを付与し、そのURLとパスワードをもって共同編集できるようなプラグインを開発しました。そして、EtherpadとWeb会議システムのOSS「Jitsi」を連携させ、Web会議をしながらホワイトボードの共有ができるようにしました。ホワイトボード機能以外にも、オンライン図形描画ツールのOSSと組み合わせ、より使いやすいおすすめのWeb会議システムを提案しています。インストール方法やより詳しい情報は、Etherpad調査報告書に掲載しています。
Etherpad「関連情報/情報の一覧」
Etherpad調査報告書
EtherpadとはWeb上でテキストに書き込み・編集ができるオープンソースのテキストエディタです。リアルタイムに複数人でテキストの共同編集を行うことができます。主な機能やインストール方法、使い方などの記事が掲載されています。
Jitsi Meet〜OSSのWeb会議システム〜
Jitsiとは、オンプレミスやクラウド環境に構築できるオープンソースのWeb会議システムです。ビデオ会議ともいわれており、ブラウザから接続でき、スマホ用のアプリJitsi Meetも無料で公開しています。
Excalidraw〜OSSのオンライン図形描画ツール〜
Excalidrawとは、オープンソースソフトウェアの図形描画ツールです。ユーザーは、Web上で図の書き込みや編集といった作業を共同で行うことができます。ここでは、Excalidrawの機能や課題について解説します。