オープンソース

Pacemaker〜クラスタソフトウェア〜

図:OSSのクラスタ管理ソフト「Pacemaker」

Pacemakerとは、クラスタリソースシステム(CRM)を実装したオープンソースソフトウェアです。Linux環境で高可用性クラスタシステムを構築する際に使われています。Pacemakerは、主にクラスタシステム全体のリソース管理を行い、リソースの状態をチェックしたり、サービスの起動や停止を行ったりしています。複数のコンピュータをネットワークに連携させることで、障害の発生を検知したら、他のノードにフェールオーバーさせることも可能です。

Pacemakerは、もともとLinux-HAプロジェクトが開発・管理を行うHeartbeatというソフトウェアの一部でしたが、2007年に、他のクラスタソフトウェアとも協調して動作できるように、Heartbeatから切り離されました。そのため、元々はHeartbeatのバージョン2で内包されていた機能が、バージョン3からはPacemakerとして独立しています。

Pacemakerを動作させるためには、クラスタの各ノードの管理を行うソフトウェアと、ノード間の通信を行うクラスタの基盤となる仕組み(クラスタ基盤ソフト)が別で必要です。そのため、HeartbeatやCorosyncと組み合わせて、HAクラスタシステムを構築することが多いです。

Pacemakerが管理するリソース

Pacemakerは、CRM(Cluster Resource Manager)として、クラスタシステム内のリソースを管理します。代表的なリソースには次のようなものがあります。

サービス

WWWサーバ(Apacheなど)やメールサーバのような、Linux上で稼働するサービスのことです。

仮想IPアドレス

クラスタの各ノードは、自分自身のIPアドレスを持っています。これとは別に、クラスタシステムとして、外部に見せるサービス用の仮想的な代表IPアドレスを割り当てることができます。

ファイルシステム

ハードディスク上のファイルシステム領域です。

システム構成の例

Pacemakerでは、単純な2台構成のクラスタシステムだけではなく、複数台のクラスタシステム(マルチサーバ構成)もサポートしています。例えば、図のように3台のサーバがあって、正常時は2台でサービスが起動されています。故障した場合には、1台のバックアップノードで縮退運転するようにも構成できます。

図:クラスタリソースマネージャ

リソースには、動作させる順番も関係しています。例えば、メールデータが含まれているファイルシステムのリソースを確保していなければ、メールサーバを動かすことはできないかもしれません。そのため、先にファイルシステムのリソースを確保し、次にメールサーバを起動するなど、リソースの起動順も管理する必要があります。

Pacemakerは、各リソースを稼働させるノードの優先順位や、リソースの起動順などの設定に基づいて、どのリソースをどのノード上で動作させるのかを、動的に管理します。

リソースエージェント

リソースエージェント(RA)は、Pacemakerがリソースを起動、停止する時に使うプログラムです。また、リソースが正常に稼働しているかの稼働監視も行います。リソースエージェントは、決められたマナーに従えば、自分で作成することもできます。

Pacemakerで利用できるリソースエージェントには、次の3つの種類があります。

LSBリソースエージェント

Linuxディストリビューションから提供されるサービススクリプトです。一般的には、/etc/init.dに配置されているものです。start、stop、statusの3つの動作を行える必要があります。ただし、すべてのサービススクリプトが利用できる訳ではありません。LSBの規格通りの機能を提供するものに限られます。

OCFリソースエージェント

Heartbeatなどと共に配布されるリソースエージェントで、LSBリソースエージェントの定義を拡張したものです。start、stop、monitor、meta-data、validate-all、promote、demote、notify、reload、migrate_from、migrate_to、recoverなど、様々な指示できめ細かな動作が行えるように拡張されています。

従来型のHeartbeatリソースエージェント

LSBリソースエージェントと同じ規格で動作するエージェントで、start、stop、statusの3つの動作を行える必要があります。Version 2までのHeartbeatのエージェントを引き続き利用することができます。

デージーネットのサービス

デージーネットは創業以来、システムの冗長化に取り組んできました。特に、クラスタサーバの構築では数多くの実績があり、お客様のご要件に合わせた最適なシステム構成をご提案可能です。なお、モデルプランでは、クラスタシステムの構築の参考価格も記載しております。また、要件をヒアリングした上で無料で概算のお見積りをご提案することも可能です。詳しくは下記よりお問合せください。

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クラスタシステムの構築事例一覧

DHCPサーバ冗長化(IPv6対応)構築事例

エンドユーザ向けにIPv6のIPアドレスの払い出しをしていくため、IPv6対応のDHCPサーバ構築の依頼をされました。重要なサービスのため、冗長化したDHCPサーバとして提供しました。

RoundcubeによるWebメールサーバ(大学様向け)構築事例

学生がメールシステムを利用するために、Roundcubeを導入したいとご連絡をいただき、弊社でシステムを構築させていただきました。できるだけ停止しないようにしたいということで、HAクラスタの構成としました。既存システムとログイン情報を共有してシングルサインオンを実現したいというご要望でした。

NFSサーバ冗長化構築事例

WWW上の情報検索サービスのために、複数台のサーバでコンテンツを共有し、サービスを安定稼動させたいというご要望がありました。デージーネットのクラスタリング技術を応用し、HAクラスタ化したNFSサーバを構築しました。

LDAPサーバ冗長化構築事例

LDAPサーバをサービス無停止で提供するため、PacemakerとDRBDを利用したHAクラスタでLDAPサーバを構築しました。

KVMによるプライベートクラウド(クラスタ)構築事例

KVMを使用したプライベートクラウドを構築しました。システム停止を行なうことができないサーバを仮想化する必要があるため、HAクラスタの導入によりシステムを冗長化しました。

Apache Solrによるメール全文検索システム構築事例

デージーネットが以前に構築したインターネットサービスプロバイダのメールシステムについて、メールの検索が遅く、検索をするとシステムの負荷も高くなる状態を改善できないかと相談を受けました。デージーネットからは、IMAPサーバのdovecotに全文検索の機能を付加する提案をし、実際に導入を行ないました。

デモのお申込み

もっと使い方が知りたい方へ
操作方法や操作性をデモにてご確認いただけます。使い方のイメージを把握したい、使えるか判断したい場合にご活用下さい。デモをご希望の方は、下記よりお申込みいただけます。


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DRBD
〜ネットワークミラーリング用ソフト〜
DRBDは、クラスタシステムでデータ共有を行うために使われるネットワークミラーリング用のソフトウェアです。現在はオーストリアのLinbit社が開発、サポートを行っているオープンソースソフトウェアです。
クラスタシステムとデータ共有
クラスタシステムを設計する時にはデータの共有をどのように行うか。これはとても悩ましい問題です。ここではクラスタシステムで良く利用されるファイル共有方法について紹介します。
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オープンソースのクラスタソフトウェアは、各種サポート付きで利用することも可能です。
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Heartbeat〜OSSのクラスタ管理ソフト〜
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クラスタシステムは、大変複雑なシステムです。ここでは、クラスタ構築を行う場合の注意点について解説します。

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