メール配信システムのOSS〜phpList〜
メール配信システムとは、メールを一斉送信ができるツールです。メールマガジンなどの大量のメールを配信する際に利用することができます。メール配信システムを利用することで、メルマガなどのメール配信を1度で簡単に行うことができるので効率化に繋がります。ここでは、おすすめしているメール配信システムphpListのポイントを解説します。
phpListとは
phpListとは、メールマガジンの配信を行うことができるオープンソースソフトウェアです。言語はPHPで書かれており、MySQLライセンスはGPLで、phpList ltdが主に開発を行っています。コミュニティが主体となっているOSS版のほか、商用サポートも存在します。またメールマーケティングを行うための機能も搭載しています。
phpListは、オープンソースソフトウェアのためソフトウェア事体の料金はかかりません。利用するために月額の費用もないため、コストを抑え自社のニーズや目的にあわせて利用することができます。利用ユーザ等の上限もありません。現在では、様々なクラウドの配信サービスがありますが、phpListはオンプレミス環境に自社専用のシステムを構築できるため安心してメールを配信することが可能です。
phpListの特徴
phpListを利用することのメリットは以下になります。
HTMLメール、テキストメール配信
phpListは、基本のテキストメールはもちろん、HTML形式のメールの配信が可能です。さらに配信する時間や日にちの指定でメール配信の予約やテストメール、特定のメーリングリストにもメールを配信することができます。配信するメールの条件の設定や、配信の結果についても確認が行えます。メーリングリストには、インストール時では、「test」と「newsletter」の2個のメーリングリストが用意されており、最初に作成した管理者がメンバーとして登録されています。リストを「公開リスト」として登録すると、登録したリストが購読登録画面に表示され、購読者が購読を選択できるようになります。
配信エラー管理
phpListでは、メールを送信し、配信エラーになった購読者について、以下の処理をすることができます。
配信できない購読者に対し、自動で配信停止にする
エラーメールの数を設定し、そのエラーメール数に到達した購読者に対し、ステータスを「未承認」状態にすることができます。「未承認」状態とは、配送停止状態のことです。この状態になったときは、該当の登録者はデータベースに残ったまま状態で、必要であれば手動で削除を行うこともできます。
届いたエラーメールの内容によって、購読者削除を行える
配送エラールールの設定という部分からアクションを設定できます。このアクションを設定することで、購読者の削除やブラックリストへの追加など行うことが可能です。エラーメールの際に選択できるアクションには次のようなものがあります。
- 購読者を削除
- 購読者を未承認にする
- 購読者をブラックリストに入れる
- メールアドレスをブラックリストに入れる
- 購読者と配送エラーを削除
- 購読者を未承認にして配送エラーを削除
- 購読者をブラックリストに入れて配送エラーを削除
- メールアドレスをブラックリストに入れて配送エラーを削除
- 配送エラーを削除
自動で配信停止をする処理の場合とは異なり、上記の設定では1通でも該当するエラーメールを受信した場合にはその該当の処理を行います。
多言語に対応
phpListは多言語対応のフレームワークで作成されています。しかし現在、部分的に日本語化されていない部分もあります。最近の傾向として、ソフトウェアがほぼ1ヶ月に1回のペースでバージョンアップしているため、日本語化がこれに追い付いていないように見受けられます。画面表示、メールなどはテンプレート化されていますが、デメリットとしてデフォルトの多くのテンプレートは英語表記であり、日本語のテンプレートやサンプルは用意されていません。このため、各種テンプレートはすべて手動で日本語化する必要があります。
管理者権限の選択
管理者画面で管理者の追加や編集をすることができます。管理者は購読者の管理やキャンペーンメールの送信、統計を見るなどの権限を分けることが可能です。管理Web画面上では、メールの配信状況やメールマガジンの作成・テンプレートの保存を行うことができます。
トラッキング統計情報の閲覧
URLやメール配信ごとのクリック統計やメールの開封についての統計情報を確認することができ効果測定に利用できます。トラッキングの取得もHTML内のリンクボタンを自動的にトラッキングURLと入れかえて、ユーザーにメール配信することができます。またそれぞれの統計データのクリック率とユーザーの紐づけも行うことができ分析にも利用できます。
プラグインによる拡張
phpListはプラグインをインストールすることで機能を拡張することができるようになっています。プラグインは、本体に付属されているものと、ダウンロードして設置するものがあり自社に合わせてカスタマイズができます。
本体に付属されているプラグインは次の種類があります。
- CaptchaPlugin
購読のフォームにキャプチャを作成する
- CKEditorPlugin
HTMLメールを編集するのに便利なソフトウェアインターネット上からスタイルシートやJavaScriptをダウンロードするタイプで、操作しているPCがインターネット接続できることが必要
- CommonPlugin
他のプラグインと連携できるライブラリ的なプラグイン
- inviteplugin
phpListに招待するメールを送信することができるプラグイン
- SegmentPlugin
キャンペーンの送信宛先を、リスト単位ではなく、ユーザの属性で絞り込むことをできるようにするプラグイン
- subjectLinePlaceholdersPlugin
メッセージの件名に、ユーザ属性をタグ置換で挿入することができるプラグイン
ユーザの登録操作
利用者は、登録画面からメールマガジンの登録を行うことができます。登録画面に必要情報を記載し登録ボタンを押すとワンタイムURLが入力したアドレス宛に届きます。ワンタイムURLをアクセスすると登録が完了されます。ワンタイムURLを使用しているためセキュリティ面も安全です。登録情報の変更や購読の解除も同じような流れで行うことが可能です。
デージーネットの取り組み
デージーネットでは、phpListを使用したメールシステムの構築などを提案しています。phpListのより詳細な情報については、phpList調査報告書に掲載しています。また今後日本語化に対応していない部分について、コミュニティのTranslationプロジェクトを通じて、より使いやすいWebインタフェースになるよう貢献していきます。
phpList「情報の一覧」
phpList調査報告書
phpListは、メールマガジンの配信を行うことができるオープンソースソフトウェアです。ライセンスはGPLで、phpList ltdが主に開発を行っています。本書は、phpListと、一部のプラグインの機能について調査した結果をまとめたものです。