Snipe-ITとは
Snipe-ITとは、企業が保有する資産を、WEBインタフェース上で管理するためのオープンソースソフトウェアである。ここでの資産とは、ノートパソコン、プリンタ、ソフトウェア、ライセンス、紙やペンの消耗品など、企業などの組織が保有する物品を指す。Snipe-ITのライセンスはAGPL v3で公開されている。Snipe-ITは、パソコンやソフトウェア、ライセンス等のIT資産管理のために開発されているが、IT資産以外の管理にも応用することが可能である。
資産管理システムの課題
企業の中には、資産や物品の情報を、Excelのような表計算ソフトを利用し管理しているところも多い。しかし、このような管理方法では、社内にどれだけの資産があるのか、どの機器を誰に貸しているのか、ハードウェア/ライセンスの更新時期がいつなのか、といった情報を正確に管理できないという課題がある。
Snipe-ITを利用することで、このような資産管理の課題を解決することができる。
Snipe-ITの特徴
Snipe-ITには、以下のような特徴がある。
登録情報の自由度の高さ
Snipe-ITの管理対象は、PC・ハードウェア等といったIT機器やOA機器だけに限定されず、マウス・キーボードといった付属品、プリンタ用紙・インク・ファイル・ペン等の消耗品まで、幅広い。Snipe-ITでは、管理する資産に対し、資産番号や購入日、金額、管理ユーザや資産を貸し出す対象のユーザ、貸し出す場所まで、ユーザ独自の必要な情報を登録することが可能である。オープンソースの資産管理ツールには、IT資産に特化したものや、登録する項目が固定されたものが多いが、Snipe-ITは比較的自由度が高いツールと言える。
消耗品やライセンスの管理
前述の通り、Snipe-ITは、消耗品やライセンス、HDDやメモリなどのPCパーツ類など、特徴的な資産も登録することができる。
大量に購入する場合がある消耗品は、数量や最小値を指定して登録できる。登録後、消費したボタンを押すと残数が一つずつ減っていき、最小値を下回った場合、アラートが送信されるように設定することも可能である。
また、ライセンス特有の情報としてプロダクトキーやシート数(ライセンス数)などが登録できる。ライセンスの割り当てや解除をしたり、ライセンスシートの一覧表示でライセンスが誰に割り当てられているかを確認したりすることができる。
ユーザや貸し出す場所、画像による管理
登録した資産とユーザ、場所を関連させるだけでなく、資産の写真なども合わせてアップロードすることができる。そのため、名前からは判別がつきにくいものも、画像で判別することができる。
QRコードによる管理や監査機能
Snipe-ITでは、資産を管理するためのバーコードやQRコードを発行することができる。発行したQRコードを印刷して資産に貼り付けておけば、スマートフォンでQRコードを読み取って、Snipe-ITで資産の情報を確認することができる。
また、このようなラベルによる管理を利用して、監査記録に活用することも可能である。作成したラベルを読み取ることで、資産の場所や貸し出しているユーザーが一致しているか確認することができる。なお、一度監査を実施した資産は、次回の監査日が近づくと、メインメニューの監査期日から確認することも可能である。
アラート通知
Snipe-ITは、資産の有効期限や消耗品の残数で、アラートメールを送信することができる。この機能を使用することで、消耗品がなくなってから慌てて購入することや、ライセンスの保証期間切れのまま運用するリスクを避けることができる。
一括処理が可能
Snipe-ITに登録する資産は、CSVファイルからインポートすることができる。そのため、大量の物品購入にも対応しやすい。また、IT資産、付属品、消耗品などの分類を選択することで、利用できるフィールドを変化させて一括登録できる。現状、Excel等で資産を管理している場合も、ExcelをCSVに変換することでSnipe-ITに一括登録をすることが可能である。
しかし、インポートの処理では、データのフォーマットチェック等がうまく行われないケースがある。例えば、日付のフォーマット(YYYY/MM/DD)を必須とする情報に対して、フォーマット違反の文字列が登録できてしまう。他の処理でエラーになることがあるため、インポート前に確認する必要がある。
なお、登録データをCSV等でエクスポートしたり、資産の一覧画面から一括で編集・削除を行うことも可能である。
LDAP連携が可能
Snipe-ITは、AD/LDAP連携にも対応している。LDAPと連携する場合、LDAPのエントリに登録されているユーザの情報をSnipe-ITのユーザに割り当てることができる。既にLDAPと連携を行っている場合、ユーザの認証時に、LDAPの情報からSnipe-ITのユーザが自動的に作成される。もちろん、手動でユーザを同期することもできる。しかし、権限の設定やユーザの削除は、Snipe-ITの画面で行う必要がある。
ユーザ・グループの権限管理が可能
Snipe-ITでは、システム管理者、ログイン可能ユーザ、ログイン不可ユーザの3つのカテゴリで、ユーザを分類することができる。ログイン不可ユーザは、管理者が資産を割り当てて、管理するためだけに利用するユーザである。
ユーザ作成画面では、一般的なユーザのIDや名前、メールアドレスなどの情報を登録することができる。また、ログイン可能ユーザの権限は、特定のユーザやグループ単位で細かく設定できる。
問題点
Snipe-ITは、資産管理ツールとして利用しやすい一方で、以下のような問題点もある。
- 日本語翻訳がおかしいところが存在する
- 資産の貸出処理が一括で行えない
- 細かい条件検索ができない
- インポート処理でフォーマットチェックが行われない
デージーネットの取り組み
デージーネットでは、社内でSnipe-ITを導入し、実際に資産や消耗品等の管理・運用を行っている。また、課題である日本語の翻訳の修正に関しては、「資産管理者向け日本語マニュアル」を作成し、当サイト上で無償で提供している。このマニュアルでは、画面イメージを使った解説や、利用に関する注意点も盛り込んでいるため、分かりやすく、管理者に優しい内容となっている。他にも、Snipe-ITのREST APIを利用して一括貸出のバッチスクリプト等を作成し、お客様にとってより使いやすい形で提案を行っている。インストール方法や使い方、機能などの詳しい情報は、調査報告書に掲載している。
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