WEBメールとは
WEBメールとは、WEBインタフェースを利用してメールの送受信を行うメールクライアント機能、またはサービスのことである。
WEBメールを利用することの利点
WEBメールを利用することで、ユーザには次のような利点がある。
- メールを送受信する機能に絞った場合、ユーザにとって、メールサーバへの接続などの特別な設定をユーザ自身が行う必要がなく、WEBブラウザを利用してログインするだけで利用することができる
- 利用するインタフェースがWEBブラウザであるため、ネットワークを通じてWEBメールにアクセスできる環境がある限り、場所やPCやタブレットなど利用する端末を選ばず同じような使い勝手でメール機能を利用することができる
またメールシステムを運用する側にとっては、すべてのユーザが同一のメールクライアントを利用することになるため、ユーザに対するサポートがしやすいという利点がある。
こういった背景があるため、フリーメールサービスの多くはWEBメールを標準的なメール利用のインタフェースとして用意している。また、インターネットサービスプロバイダのメールサービスでもWEBメールを利用できるプロバイダが数多く存在する。さらに一般企業内で利用されているグループウェアの機能の一つとして、WEBメールが内包されているものもある。
WEBメールの機能
WEBメールの主な機能には次のようなものがある(ソフトウェアによってはない機能もある)。
- メールを送受信する機能
- メールを下書き保存、定型文を登録する機能
- 受信したメールをフォルダに分けて管理する機能
- アドレス帳機能
- 署名を登録する機能
また、Ajaxによりドラッグアンドドロップ機能をサポートするソフトウェアも存在する。このように、近年のWEBメールは従来PCなどで利用していたメールソフトに準じた機能を持ちあわせているため、快適に利用することができるようになっている。
WEBメールシステム
システム面では、多くのWEBメールソフトウェアはMTAとIMAPサーバとを組み合わせて構築される。すなわち、メール送信時はWEBメールソフトウェアがMTAに対してSMTP接続などしてメールを送信し、メール受信時にはWEBメールソフトウェアがIMAPサーバに接続してメールの一覧を取得、閲覧するような仕組みを取っている。
ログイン認証は、WEBメール独自で認証情報を管理するのではなく、ログイン画面でユーザ名とパスワードを入力すると、入力されたログイン情報を元にIMAPサーバなど別の認証機能を利用して認証を行うのが一般的である。上述のようにメールボックスの実体はIMAPサーバに保存されているため端末を選ばないというメリットもあるが、端末上にメールデータを持っていないが故に、WEBサーバやIMAPサーバなどのシステムトラブルによりメールの閲覧が出来なくなることもある。
WEBメールのソフトウェア
WEBメールソフトウェアは、いくつかのソフトウェアベンダから商用のソフトウェア製品が販売されている。また、WEBメール単独の機能ではなく、グループウェアや統合メールシステムの一機能としてWEBメール機能を持ち合わせたソフトウェア製品も販売されている。さらに、SquirrelMailやRoundcubeといったオープンソースソフトウェアも存在する。
商用のソフトウェア製品
商用のソフトウェア製品は充実した機能が魅力的である。下記は商用のソフトウェア製品がサポートしている機能の一例であり、ユーザは一度ログインするとWEBメールの画面内ですべてこれらの機能を制御、設定することが出来るようになっている(一部のオープンソースソフトウェアの中には、下記の機能のうちいくつかを持ち合わせているものもある)。
- 自動応答機能
- 受信したメールを条件によって自動的にフォルダに振り分ける機能(フィルタリング機能)
- 受信したメールを条件によって自動的に転送する機能
- メールパスワードを変更する機能
- 画面の色やレイアウトをカスタマイズする機能
- 個人スケジュール管理機能
- 共用アドレス帳機能
- モバイル端末向けの専用インタフェース
商用のソフトウェア製品を利用するメリット
- ソフトウェアの利用に関するサポートが充実していること
- 利用者向けのオンラインマニュアルが充実していること
- トラブル発生時などシステム管理者がメーカーのサポートを直接受けること
- スマートフォンやタブレットなどのサポートが充実していること
商用のソフトウェア製品は、上記のように機能やサポートが充実していることもあり、ライセンス料金やサポート料金が高価なものが多い。また、サポート体制が充実しているとはいえ、バグや機能追加要求に対応する時間はオープンソースソフトウェアと比較すると長めである。
また、商用のソフトウェア製品はそれ単体でシステムとして完結しているため、カスタマイズができないか、できたとしても非常に高額なカスタマイズ費用と追加保守費用が必要となる。
オープンソースソフトウェア
オープンソースソフトウェアは、メールクライアント機能に絞ったソフトウェアとして配布されているため、それ単体を利用する場合には商用のソフトウェア製品と比べて機能的に大きく見劣りするが、他のソフトウェアと組み合わせることでメールシステムとしてさまざまな機能をもたせやすいのが魅力的である。さらに、ソースコードがすべて公開されているため、独自の機能を開発し実装することもできる。
また、オープンソースソフトウェアはライセンスフリーのため基本的に利用するだけであれば費用を必要としない。
ソフトウェアの選定
利用するソフトウェアを選定する際、必要とする要件やかけられるコストなどをもとに決定する。
次のような場合で、要件に見合ったコストをかけらるのであれば、商用ソフトウェア製品を利用するのがよい。
- 特定のソフトウェアが持つ機能が必須要件であり、全体的な機能や操作性などがそのソフトウェアの標準的な仕様で満足できる
- ソフトウェアの利用方法やトラブルシューティングなどに関するメーカーサポートを受けたい
次のような場合はオープンソースソフトウェアを利用するのがよい。
- 操作性なども含め利用するソフトウェアの標準的な仕様で満足できる
- さまざまな機能を別のソフトウェアと組み合わせて構成したい
- どのソフトウェアにもない独自の機能をカスタマイズとして実装したい
- 「お客様窓口」のような手厚いサポートを必要としない
- ランニングコストをかけられない
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