Ubuntuとは
Ubuntu(ウブントゥ)とは、オープンソースのLinux系のOSである。canonical社が主体となって開発コミュニティを運営している。PCやクラウド、サーバなど、あらゆる環境で利用可能なLinuxディストリビューションの一つである(Linuxディストリビューションとは、Linuxカーネルとその他のアプリケーションを組み合わせて、OSとして使いやすいようにしたものである)。Ubuntuは、古代アフリカの言葉で「他者への思いやり」といった意味を持つ。
UbuntuとDebian
Ubuntuは、DebianというLinuxディストリビューションから派生して開発された。そのため、パッケージファイルにdeb形式を、管理システムとしてAPTを使用している点などが共通している。しかし、ベースとなったDebianはユーザのコミュニティによって運営されているのに対し、Ubuntuは企業が運営するコミュニティによって開発されているといった違いもある。
Ubuntuの魅力
Ubuntuが人気な理由として、以下のような特徴やメリットがある。
半年ごとにアップデートされる
Ubuntuは、2004年の初期リリースから現在に至るまで継続的にリリースされており、半年に1回(4月・10月)新しいバージョンが無償でリリースされる。そのため、常に最新の状態でソフトウェアを利用することができる。Ubuntuは、Linuxディストリビューションの中でも特にリリース頻度が高いとされている。
サポート期間が長い
上記の通り、Ubuntuは半年ごとにアップデートが行われるため、安定した環境を求めるユーザー向けに長期サポート(以下LTS:Long Term Support)版の提供も行っている。通常版は少なくとも9ヶ月以上、LTS版は5年間のセキュリティサポートが付いている。LTS版も、通常版と同じように完全に無償で利用することができ、LTS版への更新も無償である。このように、無償のOSとしては比較的サポート期間が長い点が特徴である。
OS | リリース日 | サポート終了 |
---|---|---|
Ubuntu 18.04 LTS | 2018年4月 | 2023年4月 |
Ubuntu 20.04 LTS | 2020年4月 | 2025年4月 |
Ubuntu 22.04 LTS | 2022年4月 | 2027年4月 |
Ubuntu 24.04 LTS | 2024年4月 | 2029年4月 |
有償サポートでさらに期間の延長が可能
Ubuntuには、通常版のほかにいくつかの有償サポートサービスも用意されている。これらサービスに加入することで、通常版からさらにサポート期間を延長することが可能である。
- Ubuntu Pro
canonical社が提供する有償サポートサービスである。Ubuntu Proでは、拡張セキュリティーアップデートのサービスとしてESM(Extended Security Maintenance)が用意されている。ESMはLTS版のUbuntuに限り利用可能で、通常版では提供されていない。ESMを利用すると、LTS版の5年間の標準セキュリティサポートに加え、さらに5年間のサポート期間が追加される。つまり、LTS版とESMで合わせて10年間のセキュリティサポートを受けることができる。
(例:Ubuntu 24.04 LTSの場合、2034年4月までサポート)なお、ESMの利用には、原則としてUbuntu Advantage等の有償サポートサービスの契約が必要で、個人利用に限り無償で利用できるサービスもある。
- Legacy support
Ubuntu 14.04 LTS以降を対象に提供している、Ubuntu Proのアドオンである。Ubuntu ProのESMに、さらに2年間のサポートを追加することができる。つまり、Legacy supportを利用すれば、LTS版と合わせて12年間のセキュリティサポートを受けることができる。
(例:Ubuntu 24.04 LTSの場合、2036年4月までサポート)
対応ソフトウェアが豊富
Ubuntuには、ワープロ、表計算、プレゼンテーションなどのオフィスアプリケーションや、Webブラウザ、動画・画像の編集ソフトなどさまざまな種類のソフトウェアが標準で搭載されているため、Ubuntuのインストール後すぐに使うことができる。また、標準搭載以外のソフトウェアが必要な際も、無償で簡単にダウンロードできる場合が多い。
カスタム性が高い
オープンソースであるため、誰でもソフトウェアを入手することができ、ユーザの目的や用途に合わせて自由にカスタマイズすることができる。また、Ubuntuはユーザ数が多くコミュニティも活発であるため、カスタマイズ方法や使い方、問題の改善策など、検索すれば参考となる情報を比較的入手しやすい。
インストール不要で利用できる
UbuntuはLiveDVDという形式で配布されているため、インストールの必要がなく素早く簡単にUbuntuを起動することができる。標準でデスクトップ環境がひと通り含まれており、オンラインでソフトウェアを追加することも可能である。LiveDVD単体で機能が充実しているため、緊急用メンテナンス環境として使われることもある。
Ubuntuの注意点
前述の通り、Ubuntuでは半年ごとのリリースを約束しており、新規リリースの直後は動作が不安定になる場合がある。また、Ubuntuは製品などのソフトウェアには対応していないケースが多い。対応していないソフトを使いたい場合は、Linux向けの代替手段を探す必要があり、手間がかかるといった問題がある。OSの入れ替えやシステムのリプレイス前には、利用したいソフトウェアが対応しているかを事前に確認することをおすすめする。
Ubuntuから派生したディストリビューション
Ubuntuは、インストールから日常作業といった基本操作のほとんどをマウス操作によるGUIのみで完結できる。そのため、Windows、Macの操作に慣れた人や初心者でも扱いやすい。もちろん、CUI(コマンド操作)でも簡単に導入ができるため、開発者向けのOSとしても人気があり、多くの派生ディストリビューションが開発されている。 標準ではデスクトップ環境にGNOMEを採用しているが、デスクトップ環境を入れ替えたものも多数存在する。デスクトップをMATEに置き換えたUbuntu MATE、KDEを採用したKubuntu、要求リソースが少ないXFCEを採用したXubuntuなどがある。
また、サーバー用途向けにはUbuntu Serverという派生版がある。通常のUbuntuよりもクライアント接続や安全性が重視されている。そのため、メールサーバ、ファイルサーバ、Webサーバなどとしても使える。Ubuntu Serverの配布はLiveDVDではなく一般的なインストーラ形式であり、インストールから設定まで全てコマンドライン上の操作が必要である。基本的に余分なパッケージはインストールされない。
デージーネットの取り組み
デージーネットでは、Ubuntu Serverを使ったシステム構築を行っている。システムの構成や今後の保守性を考えたOS選定、アプリの動作確認なども実施している。また、構築後のサポートとしてOpen Smart Assistanceを提供している。
なおデージーネットでは、2024年4月にリリースされたUbuntu Server 24.04 LTSについて調査を行い、調査報告書で公開している。インストール方法やより詳細な解説等はUbuntu Server 24.04 LTS調査報告書にて掲載している。
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