~バックアップは安全な場所に保管されていますか?~
システム管理のつぼ(2016年7月号)
ソリューション開発部 森 彰吾
バックアップは、システムやデータを復旧させるためのものです。バックアップデータ自体が壊れてしまったり、うまく復旧できない状態では意味がありません。では、どのようにバックアップデータを保管したら良いのでしょうか?今回はよくあるバックアップデータの保管方法を挙げ、それぞれを安全に運用するためのポイントを解説します。
まず、システムのハードディスクにデータを保管する方法です。
ハードディスクでのデータの保管方法は様々ですが、共通して言えるのが、ハードディスクは数年で壊れるということです。ハードディスクが壊れた場合、そのハードディスク上に保管していたデータは、復旧は不可能になります。「ハードディスクは壊れる」ということを念頭において、多重でバックアップを行ったり、RAID1やRAID5の構成を組んで故障に備えることが必要です。
ディスク故障の対策として、デージーネットで行った特徴的な事例を紹介します。以下のような構成です。
- DRBDを使い2台のサーバのディスクをミラーリングする
- ミラーリングされていない領域にデータのバックアップを行う
- 更に外部のストレージ上にデータのバックアップを行う
この構成は、ミラーリングが行われているデータを、更に2重でバックアップすることにより、幾重にも安全性を高めています。
上記のような対策を行っても、まだ破壊の可能性が残されています。地震などの災害により、バックアップを含むシステム全てが壊れてしまうケースです。このケースからデータを守るためには、遠隔地にデータを保管する必要があります。
遠隔地にバックアップ用のシステムを作ることもありますが、最近では、クラウド上にバックアップを保管することもあります。クラウドの場合は、ある程度信頼性はありますが、予期せぬサービスの停止によりバックアップが行えない場合や、大規模な障害により、データが破壊される可能性があるということは、考慮しておくべきです。
いくつか例を上げましたが、データの安全な保管方法に、これというものはありません。重要なのは、安全な保管方法をいくつも積み重ねることです。
どこまで安全性を求めた構成を取るかは、非常に難しい問題です。コストや手間と安全性を天秤にかけて、システムに合った保管方法の検討が必要です。いざという時に使えるように、バックアップデータが安全に保管されているかを、一度見なおしてはいかがでしょうか。