LinuxサーバのOS〜Ubuntu Server〜
OSS研究室 森 彰吾
今回は、オープンソースのLinuxサーバOS Ubuntu Serverをご紹介します。
Ubuntu Serverとは、Linux系のデスクトップ環境として開発されたUbuntuから派生した、サーバ用途向けのOSです。Ubuntuは、無償のOSとしては比較的サポート期間が長く、アップデート頻度も高いことから、Linuxディストリビューションの中でも特に人気のソフトウェアです。
今回は、2022年4月21日にリリースされた、Ubuntu Server 22.04 LTSについてご紹介します。
UbuntuとUbuntu Serverについて
Ubuntuは、Debian GNU/Linux を元にしたLinuxディストリビューションです。Canonical Ltdという企業が母体となって開発が行われ、2004年に初期リリースが行われてから現在に至るまで、継続的にリリースされています。
Ubuntuは主にデスクトップ環境として開発されていますが、公式の派生版としてUbuntu Serverが存在します。これは、その名の通りサーバ用途として提供されているOSです。UbuntuもUbuntu Serverも基本的には無償で利用できるという特徴があります。
昨年のCentOS8のサポート終了により、このUbuntu Serverを新しい環境として採用するケースが徐々に増えてきています。
今回紹介するUbuntu Server 22.04 LTSは、2022年4月21日にリリースされた最新のUbuntu Serverです。
Ubuntu Server 22.04 LTSのアップデートポイント
Ubuntu 20.04からのアップデートされたポイントを抜粋して、以下にまとめました。
- Linux Kernelを5.15にアップデート
- 開発言語のバージョンをアップデート
- Python 3.10.4
- PHP 8.1
- Ruby 3.0
- Go 1.18
- NodeJS 12.22
- サーバミドルウェアのアップデート
- Apache HTTP Server 2.4.52
- MySQL 8.0
- MariaDB 10.6.7
- PostgreSQL 14
- ライブラリのアップデート
- OpenSSL 3.0
- パケットフィルタリング機構(Firewallのバックエンド)として、nftablesを採用
[リリースノートURL]
https://discourse.ubuntu.com/t/jammy-jellyfish-release-notes/24668
上記の通り、今回はソフトウェアのベースバージョンのアップデートがほとんどです。そのため、システム管理の方法は今までとほぼ同じになります。
パケットフィルタリングの機構としてnftablesが採用されていますが、Ubuntuのファイアウォールのフロントインタフェースであるufwと使い方は同じです。ufwの裏側でnftablesが動くようになっただけなので、使用方法に変更はありません。
Ubuntuのライフサイクル
Ubuntuでは、LTS(Long Term Support)と呼ばれる5年間の長期サポート版のリリースが2年毎に行われ、22.04 LTSもこれに該当します。なお、一つ前のLTSリリースは、Ubuntu 20.04 LTSです。
Ubuntu 20.04LTSは2020年にリリースされ、サポート終了は2025年です。今回リリースされたUbuntu 22.04LTSは、今年2022年にリリースされたので2027年までサポートされることになります。
なお、慣例的に、サポート期限を迎えたUbuntuは、Canonical社のESM(Extended Security Maintenance) と呼ばれる有償のサポートで延命することができます。今までの傾向では追加で5年のサポートが行われるため、ESMが適用されれば、Ubuntu Server 22.04 LTSは2032年まで利用することができます。
Ubuntu Server 22.04 LTSを採用するときのポイント
Ubuntu Server 22.04 LTSは、ソフトウェアのアップデートに重点をおいてリリースされています。そのため、管理方法の変更はほぼありませんが、それでも以下のような注意点があります。
開発言語やミドルウェアのバージョン確認
一般的に、開発言語やミドルウェアのアップデートにより、アプリケーションの動作に影響がでる場合があります。そのため、動作させたいアプリケーションが必要としている言語やミドルウェアのバージョンを確認する必要があります。
特にインパクトがあるのが、OpenSSLのバージョンアップです。OpenSSLは、データの暗号化に関わるプログラムライブラリであり、様々なソフトウェアで利用されています。
このOpenSSLは、長らくOpenSSL1.1というバージョンが使われていましたが、今回OpenSSL3.0というバージョンにアップデートされました。1.1と3.0では、使い方の違いがあるため、ソフトウェアによってはプログラムの修正が必要になります。
Ubuntu 22.04 LTSが提供しているソフトウェアは、すでにOpenSSL3.0に対応しているため特に問題はありません。ただし、サードパーティ製のアプリケーションや製品などは、動作しないケースが出てくると予想されます。このような場合には、対象のソフトウェアがOpenSSL3.0に対応するのを待たなければいけないので、事前のチェックが必要です。
リリース直後の安定性
もうひとつのポイントとしては、初期リリースの問題です。往々にしてリリースされたばかりのOSやソフトウェアは、不具合が発生しがちです。Ubuntu 22.04 LTSにも、不具合が内包されていることが予想されます。
不具合は随時修正され、2022年8月4日にポイントリリースとよばれる不具合や脆弱性の対応を行ったバージョンが、22.04.1としてリリースされる予定です。特に急ぐ必要がないのであれば、採用するのはこのリリースまで待つのもひとつの方法です。
デージーネットでは
デージーネットではUbuntu Server 22.04 LTSの調査を行いました。また、今後の採用に備えて、アプリケーションの動作確認を徐々に進めています。現在は20.04と22.04の入れ替わりの時期のため、特に判断が難しいと思います。我々がご提案するシステムでは、OS選定のご相談も承っています。
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