ネットワーク機器やIPアドレスを管理するOSS〜netbox〜
OSS研究室 森 彰吾
今回は、ネットワーク機器の配置場所やIPアドレスを管理できるOSS「netbox」を紹介します。netboxを利用することで、サーバなどの機器情報を一括管理することができます。
netboxとは
netboxとは、データセンター管理(DCIM)やIPアドレス管理(IPAM)の機能を持つオープンソースソフトウェアです。データセンター管理というと大げさに聞こえますが、実際はサーバ機器やネットワーク機器、配置場所などを効率的に管理するためのツールです。
netboxでは、以下ような情報のほか、様々な内容を登録できます。
- 機器の配置場所、サーバラック、ラックマウントした場所(U数や前面・背面など)
- 機器のメーカー、モデル、NIC/ポート、電源の情報、その他モジュール類
- 機器同士のケーブルの関係(機器Aのポート1と機器Bのポート2が繋がっている、など)
- IPアドレス(ネットワークやIPアドレスの範囲、機器へのIPアドレスの登録、VLAN)
netboxの良さ
netboxは、機器の情報管理だけでなく、いくつかの特徴を持っています。
使いやすいデザイン
netboxは、DCIM/IPAM系ソフトウェアとしては比較的新しく、同類のOSSに比べてモダンなデザインが採用されています。機器を管理するソフトウェアでは多量な情報登録を強いられる傾向にあり、ソフトウェアの操作感は作業効率に直結します。その点、netboxは直感的で分かりやすいデザインとなっているため、機器に紐づく情報にアクセスしやすく、とても使いやすい点が特徴です。
設定効率化の仕組み
上記で触れたように、DCIM系のソフトウェアでは、手作業による情報の登録に非常に手間がかかります。この手間が大きすぎると、日常的な運用で正確に登録が行われないという問題が発生します。netboxには、手作業以外で情報を登録できる仕組みがいくつかあります。
- 設定のインポート機能
機器の情報をYAML形式でインポートできるため、画面上で1つずつ登録する作業を効率化できます。さらにnetboxのコミュニティでは、よく利用されるメーカーの機器情報を、インポート可能な形式で公開しています。これを利用することで、機器のモデルごとの細かい登録作業をすぐに終わらせることができます。
- REST APIの使用
netboxには、他のシステムやプログラムと連携するためのREST APIも実装されています。ある程度のスキルは求められますが、REST APIを利用することで登録を自動化することも可能です。
プラグイン機構
pythonの知識が必要ですが、プラグインを開発すれば機能の追加もできます。また、公開されているプラグインをインストールすることも可能です。
例として、ネットワークのトポロジー図を作成するプラグインがあります。netboxでは、機器同士のケーブル配線の情報を登録できますが、デフォルトの状態では、繋がっている2台の機器の情報しか見ることができません。このプラグインを導入することで、複数の機器の接続関係をグラフィカルに表示することができます。表示する機器の範囲も設定できるため、特に関係性の強い機器のグループだけを表示して、現在の状態を知ることもできます。
他のシステムとの連携
netboxには、他のシステムと連携するための支援機能がいくつかあります。厳密にはnetboxだけでは実現できず、機器の設定を自動化するためのツールであるAnsibleなどと併用して利用します。
Ansibleには、netboxに登録された情報を利用するためのモジュールが用意されています。また、netboxには、Ansibleなどのツールに渡すための特有の情報を設定する機能があります。この2つを組み合わせると、netboxで登録した情報をもとに、Ansibleで機器の設定変更を行ったり、逆に機器の情報を取得することが可能になります。
netboxの課題
netboxは多機能ですが、多言語対応が行われておらず、英語のインタフェースを利用しなければならないことが唯一の難点です。ただ、公式マニュアル等では今後多言語対応していくことを明記しており、期待が持てるソフトウェアです。
デージーネットでは
デージーネットでは、すでにSnipe-ITというIT機器管理のソフトウェアを調査し、お客様に提案をしています。ただSnipe-ITは、どちらかといえば個人のパソコンなどを管理する場合に適したソフトウェアです。対してnetboxは、企業システムに関わる機器やネットワークを管理する際に適しています。今後デージーネットでは、お客様のご要望や管理対象に応じて、上手くマッチするソフトウェアのご提案を行っていきます。
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