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ビジネスチャットツールのおすすめOSS比較4選(2024年版)

現在、働き方改革の推進やテレワークの普及により、従来のメールや電話というコミュニケーションツールではなく、ビジネスチャットが注目されています。特にテレワークでは、メールや電話よりも手軽に連絡が行えることから、情報共有をスムーズに行うことができ、業務の効率を改善する効果も期待できます。ここでは、主要なOSSのビジネスチャットツールである「Zulip」、「Mattermost」、「Rocket.Chat」、「Nextcloud Talk」の主な特徴について紹介し、それぞれの機能を比較します。

目次

ビジネスチャットとは

ビジネスチャットの画像

ビジネスチャットとは、ビジネスにおける新たなコミュニケーションツールとして、従来のメールや電話に代わって利用されているチャット形式のコミュニケーションツールやサービスのことです。ビジネスチャットでは、メールのやり取りで一般的だった自分や相手の名前の記載、挨拶文などの冗長な内容を省き、要件だけを短い文章で伝えます。そのため、社内外の人と気軽にコミュニケーションを取ることでき、円滑な業務をサポートしてくれます。また、絵文字を利用するなどして感情やニュアンスも分かりやすく伝えることができます。

ビジネスチャットの基本機能

ビジネスチャットを利用することで、これまでにない様々なメリットが期待できます。ここでは、ツールの選択の基準となる、ビジネスチャットの一般的な機能とメリットについて紹介します。

利用端末

一般的なビジネスチャットはWebブラウザから利用できます。PCだけでなくスマートフォン用のビジネスチャットアプリが提供されていれば、社外からもチャットに参加することができ、よりコミュニケーションが取りやすくなります。

情報共有

チャットルーム内でWordやExcelなどのOffice文書やPDFのようなファイルを共有できると、メールの添付ファイルよりも気軽にファイルを共有できて非常に便利です。ファイルを迅速に共有することで、情報共有が促進され、業務の効率化を実現できます。

会話履歴

過去の会話が保管されていれば、指示を確認したりQ&Aの状況を見返したりできます。また、会話の履歴の中からキーワードを探す機能があると便利です。

グループ機能

一般的なビジネスチャットは、LINEのように自由にグループを作成できます。部署、チーム、プロジェクト、ミーティングなど、仕事の単位に合わせてグループを作ることで、リモートワークや在宅勤務などでも場所を選ばず会議を行え、利便性が向上します。

Web会議との連携

ビジネスチャットツールと連携してWeb会議を行う機能です。1対1の会議や、作成したグループ内で会議をスムーズに実施することができ、リモートワークや在宅勤務時の利便性が向上します。

監査機能

ビジネスチャットのツール内でも、パワハラやセクハラなどの事故が発生する可能性があります。こうしたリスクに対処するため、マナーやルールを適切に守ってツールが利用されているかを監査する機能があると安心です。特に大企業等での導入では重視されている機能です。トラブル発生後の原因調査だけでなく、監査機能があることで抑止力としても働き、従業員間のトラブルをある程度未然に防ぐことが期待できます。また、発言中に特定のキーワードが見つかった場合に管理者へアラート通知を送る機能は、問題の早期発見にも役立ちます。

以下では、比較的人気の高い3つのOSSのビジネスチャットを紹介し、詳細を解説します。

OSSのビジネスチャットツール「Zulip」

Zulipの画像

Zulipとは、2012年にリリースされたオープンソースソフトウェアのチャットシステムです。Slackのように他のユーザとリアルタイムに文字で会話することができます。Zulipは、メッセージ送信方法が多数あり、多機能なチャットシステムです。秒間数百件のメッセージのやりとりに耐えられるスペックがあるため、利用人数が多い場合にも適しています。

Zulipには、以下の特徴があります。

トピック形式で会話を管理

通常のチャットシステムの場合、グループに対して一つのルームでやり取りを行うことが多いですが、後から書いた内容を探すのに手間な場合があります。Zulipは、ストリームという単位でチャットルームを管理します。この一つのストリームの中で、トピックとして話題に応じて会話のグループを作成することができます。メールをスレッドで管理するような形式で表示され、話題に応じてルームを作成することができるので、会話の整理や履歴の検索がしやすくなります。

モバイルアプリの利用が可能

Zulipは、AndroidとiOSのモバイルアプリが存在します。Google PlayやApple Storeからダウンロードすることで、スマフォやタブレットからの利用が可能になります。また、Zulip公式のプッシュ通知サービスに登録することで、プッシュ通知も行うことができます。インターネットに接続可能な環境であれば、制限なくプッシュ通知を受けることが可能です。

Web会議システムと連携

Zulipは、OSSのWeb会議システムと連携させることで、トークルームからWeb会議を行うことができます。現在、Zulipは、Web会議システムのJitsi MeetとBig Blue Buttonと連携することが可能です。トークの中にあるビデオカメラのアイコンをクリックすることで自動的に会議のURLが発行されます。作成しているグループに一人ずつ招待URLを共有する必要がなく、すぐにWeb会議を行うことができます。

Zulip詳細情報 Zulip無料資料 お問合せ

OSSのビジネスチャットツール「Mattermost」

Mattermost_PCの画像

MattermostもSlackを意識して作られた、オープンソースのビジネスチャットツールです。そのため、見た目や使い方もSlackと良く似ています。

Mattermostには、次のような特徴があります。

チームの作成

Mattermost内で作成するコミュニティです。チームにメンバーが所属し、チームにメンバーが会話を行うためのチャネルを作成します。チーム名や説明を加えることができ、チームの管理者がチームメンバーの管理も行うことができます。

チャンネルの作成

MattermostもRocket.Chatと同じようにチャンネルを作成することができます。

  • 公開チャンネル
  • 非公開チャンネル
  • ダイレクトメッセージ(1対1)

ウェブブラウザやモバイルアプリケーションからでの利用

Rocket.Chat同様、ウェブやモバイルから利用することができます。またアプリ版なら、メッセージ受信をPush通知で知ることができます。

サービス連携

Mattermostは、Slackと同様なhubot等integration機能で連携が可能です。

Mattermost詳細情報 Mattermost無料資料 お問合せ

OSSのビジネスチャットツール「Rocket.Chat」

Rocke.Chat_PCの画像

Rocket.Chatは、国内では最も普及していて、シェアが高く導入事例が最も多いオープンソースのビジネスチャットツールです。サーバのソフトウェアだけでなく、スマホ用のビジネスチャットアプリも公開されていて、無料で入手することができます。Slackを意識して開発されているため使い方もよく似ていて、簡単に利用することができます。Active Directoryとの連携などの機能を備え、エンタープライズ向けの利用では、おすすめのソフトウェアです。

なお、コミュニティ版のRocket.Chatバージョン6以降では、同時接続ユーザ数が200名を超えるとユーザの在籍表示ができなくなるといった一部の機能制限が導入されています。

Rocket.Chatには次のような特徴があります。

充実したチャット機能

Rocket.Chatは非常にシンプルな作りとなっており、直感的に利用することができます。基本的な機能に加え、メッセージの未読/既読表示や履歴の検索、ファイル共有、いいね機能など、チャットツールに必要な機能が網羅されています。

また、グループ内の複数人でのやりとり(グループチャット)や、自分と相手だけの1対1のプライベートなやりとり(Directメッセージ)にももちろん対応しています。全ユーザが投稿可能なグループを作成しておくことで、社内SNSや掲示板としても利用することも可能です。

このような機能を活用することで、円滑で迅速なコミュニケーションを行うことが可能です。機能の詳細については、後述のチャットシステム比較表にも記載しています。

用途にあわせたチャットルームの作成

Rocket.Chatは、用途に合わせて公開用、限定公開、非公開の3つのスタイルで設定することができます。例えば、組織の内部だけで使う場合には非公開のチャットルームとして、管理者が登録したユーザだけが利用できるようにします。

一方、組織の枠を超えて利用するには、公開、または限定公開にすると便利です。公開のルームは、Webページから参加申請をすれば誰でも利用できるようなスタイルです。また、限定公開のルームは、参加者から招待された人が参加できます。

ウェブブラウザやモバイルアプリケーションでの利用

Rocket.Chatでは、スマートフォン用のビジネスチャットアプリも利用することができます。AndroidやiOSに対応したビジネスチャットアプリが無料で配布されています。そのため、出張中や外出中にもやりとりの内容をチェックできます。

Rocket.Chat_loginの画像

LDAPサーバやActive Directoryサーバとの連携

Rocket.ChatはLDAPサーバと連携することで、ログイン時のユーザ認証をLDAPに問い合わせることができます。LDAPサーバに接続し、ユーザ認証が成功した場合、Rocket.Chatのツール内にアカウントが作成され、ログインすることができるようになります。

企業や大学等、LDAPを使用してアカウント管理を行っている環境にビジネスチャットツールを導入する場合、ユーザ認証の連携は必須の機能となります。Rocket.Chatを使用すれば、LDAPサーバのアカウント情報と連携することができます。Rocket.ChatはLDAPと同様にActive Directoryとの連携も可能になります。

外部アプリと連携

Rocket.ChatはTwitter、FacebookなどのSNSにOAuth認証を付けることでTwitter、Facebookと連携することができます。また、WebhookやHubotなどのAPIを使って、他のツールと連携する独自機能を開発したり、カスタマイズを行うこともできます。Rocket.Chatでは、このAPIを利用する様々なアプリも公開されていて、Subversion、Redmine、Jenkinsを連携させることもできます。

Web会議との連携ができる

Rocket.ChatにはWeb会議との連携機能があるのもおすすめのポイントの一つです。Web会議のバックエンドとしては、Jitsiと連携することができます。Jitsiと連携すると、チャットで会話していたユーザ全員で、すぐにWeb会議での対面でのコミュニケーションに移行する事ができます。また、デスクトップ画面の共有ができるため、ビデオ会議でプレゼンテーション資料、アプリケーションの操作等の共有をすることができます。

Rocket.Chat詳細情報 Rocket.Chat構築事例 Rocket.Chatコンサル Rocket.Chat無料資料 Rocket.Chatマニュアル お問合せ

ビジネスチャット機能のプラグイン「Nextcloud Talk」

Nextcloud Talk_PCの画像

Nextcloudは、OSSのクラウドストレージソフトウェアです。ストレージ機能だけでなく、グループウェアとしての機能も豊富に備えています。Nextcloudは、プラグインを使って機能を拡張することができ、予定の管理(カレンダー)、タスク管理、アンケートなど、さまざまなコラボレーション用のプラグインが公開されています。そのプラグインの一つとして提供されているのが、Nextcloud Talkです。

Nextcloud Talkを利用すると、チャット機能やビデオ会議を行うことができます。

以前は、Nextcloudのコミュニティー版では、日本語が正しく表示されませんでしたが、現在はきちんと表示されるようになっています。ただし、ビデオ会議の数には制限があります。そのため、Nextcloudでビデオ会議の機能を利用するには、商用サポート版を利用したほうが便利です。

Nextcloud詳細情報 Nextcloud構築事例 Nextcloud無料資料 Nextcloudマニュアル お問合せ

チャットシステム比較表

今回紹介したOSSのチャットシステム、Zulip、Mattermost、Rocket.Chat、Nextcloud Talkの機能を比較しました。

Zulip Mattermost Rocket.Chat Nextcloud Talk
トークルームの
作成
パブリック:
誰でも参加可能
プライベート:
招待された
メンバーのみ
※新メンバーへの過去の履歴の表示を制限可能
ダイレクト:
1対1での会話
公開チャンネル:
誰でも参加可能
非公開チャンネル:
招待された
メンバーのみ
ダイレクトメッセージ:
1対1での会話
公開ルーム:
誰でも参加可能
非公開ルーム:
招待された
メンバーのみ
ダイレクトメッセージ
1対1での会話
プライベート:
招待された
メンバーのみ
オープン:
誰でも参加可能
既読表示 有償版で可能 v6から
制限あり
×
入力中…の表示 ダイレクト
ルームのみ対応
v6から
制限あり
在籍表示 v6から
制限あり
変更がリアルタイムではない
Markdown方式でメッセージ送信 ×
メッセージ
受信通知
ファイル共有
メッセージの検索 ×
メッセージの予約 × × ×
スレッド式の会話 ×
ゲストユーザ機能 コミュニティ版はなし ×
Web会議連携
ボット機能
モバイルアプリ v6から
制限あり
モバイルプッシュ通知 有償サービス
未加入の場合は
10ユーザまで
×
OSS版の場合
OSS版は
500ユーザまで
LDAP連携 有償版で可能
SSO認証 有償版で可能
監査ログ 定期的にDB
から取得
有償版で可能(β) リアルタイムにAPIで取得 定期的にDB
から取得
システムの
複数構成
× 有償版で可能
デフォルトのユーザ管理の仕組み コマンドライン
から操作
コマンドライン
から操作
Web UI
から操作
Web UI
から操作
ユーザの権限設定
※作成したルームの変更など
一部管理者のみの操作
×

クラウドサービスとOSS、どちらを選ぶべきか?

現在、ビジネスチャットには様々な種類のサービスや製品が存在します。最もよく使われているSlackをはじめ、Line Works、Chatwork、Microsoft Teamsなどに代表される有料のクラウドサービスは、導入の手軽さや運用の負担の少なさから特に人気が高いです。ただし、手軽で導入のハードルが低いクラウド型ビジネスチャットですが、以下のような課題もあります。

情報漏えいのリスク

クラウド型ビジネスチャットツールでは、やりとりの履歴がサービス提供サイトに残るという大きなデメリットがあります。例えば、2021年4月、LINEが取り扱う日本のユーザーのデータが海外に保管されていたことが判明し、運営元のLINEが行政指導を受けたという事例があります。LINE、Slack、Teams等のクラウド型のビジネスチャットサービスでも、制限されたユーザーにアクセスを絞ることはできますが、外部に機密情報や個人情報を残すことに対して不安があります。

ユーザー数が多いとコストが高い

SlackやLine Worksなどのクラウド型のツールには無料のプランもありますが、多くの場合、利用人数や機能、保存できるメッセージの容量などに制限があります。そのため通常は、利用人数によって月額で課金が行われる有料プランの契約を検討することが多いようです。しかし、従業員数の多い企業や組織では、すべての社員にアカウントを用意するとなると非常にコストがかかります。また、外部の取引先とプロジェクトを共有する際にチャットを利用するようなケースでは、「どちらが料金を支払うか」という問題も起こります。

上記のような注意点が気になる場合は、クラウドサービスではなく、OSSのビジネスチャットツールを利用して、オンプレミス環境に自社専用のチャットシステムを構築する方法がおすすめです。

OSSのビジネスチャット導入メリット

最近は、以下のようなメリットからOSSのビジネスチャットツールを採用する企業も実際に増えています。

セキュリティ性が高い

クラウドサービスと比較した最大の違いとして、OSSを使うことで、オンプレミス環境にチャットシステムを構築することができます。重要な機密情報や個人情報を組織内のサーバ上に保存することができるため、セキュリティ面が強化され、安全で便利にビジネスチャットツールを利用することができます。

アカウント数が増えても追加料金がかからない

OSSなら利用する人数やディスク容量によって追加で費用がかかることはありません。組織を越えたチャットの利用もしやすいため、社内外を問わず業務効率化を促進できるという点がメリットです。

クラウドサービスとOSS、どちらが自社に合っているかは利用環境や規模によるため、ビジネスチャットを導入する際は、これらの選択肢の中から適切なチャットツールを選ぶ必要があります。

まとめ

デージーネットはこれまで、オンプレミスのチャットツールを導入したいというご要望にはRocket.Chatを提案していました。これは、Rocket.Chatが非常に安定したソフトウェアであり、LDAPやActive Directoryと連携ができるからです。しかし、上記の比較結果の通り、Rocket.Chatのバージョン6以降はオープンソース版の機能制限があり、利用していくには制約がある場合があります。そのため、現在はZulipやMattermostの利用をおすすめしています。

なお、それぞれのチャットツールによってメリット・デメリットが存在するため、導入前に要件を確認し、利用規模や用途に合わせて最適なツールを選択する必要があります。以下では各ツールのポイントをまとめました。

Zulip

  • トピック形式で会話を管理する
  • 比較的利用人数が多くても問題なく使える
  • LDAPやSSO(シングルサインオン)の認証に対応している

Mattermost

  • Slackに慣れているユーザは使いやすい
  • モバイルプッシュ通知を利用できる
  • AD/LDAP連携やOpenID Connectは有料版でしか連携できない

Rocket.Chat

  • Slackに慣れているユーザは使いやすい
  • チャットツールに必要な基本機能を網羅している
  • ただし、バージョン6以降のオープンソース版には一部機能に制限がある
  • LDAPやActive Directoryと連携できる

Nextcloud Talk

  • Nextcloudプラグインの1つとしてチャット機能が使える
  • 少人数の会議やチャットに適している

デージーネットでは、OSSのチャットツールについて随時調査を行っており、お客様のご要望に合わせ最適なチャットシステムを提案可能です。導入をご検討中の場合は、お気軽にご相談ください。

デージーネットの取り組み

デージーネットはこれまで、自治体、金融、製造業などのお客様や規模の大きな組織へ、Rocket.Chatを使ったビジネスチャットツールのシステム構築や、Rocket.Chatの性能改善のためのコンサルティングなどを行った実績もあります。また、デージーネットの社内でも実際にRocket.Chatを利用しています。しかし、Rocket.Chatの機能制限を受けて、新たにZulipやMattermostの機能について調査を行い、調査報告書を公開しております。今後は、お客様のご要望や利用規模に合わせて最適なツール、システム構成を提案していく予定です。

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