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動画配信とは

動画配信とは、インターネットを通じて動画コンテンツを視聴者に配信することを指す。テレビやラジオのように、一方向的に放送されるコンテンツとは異なり、動画配信では視聴者が好きなタイミングで動画コンテンツを選んで視聴できるという特徴がある。

有名な動画配信サービスとしては、YouTubeやAmazon Prime Video、Hulu(フールー)、Netflix(ネットフリックス)といったオンデマンド型の動画配信サービスから、ZoomやTwitchなどのライブ配信プラットフォームまで、多岐にわたる形式が存在する。これらの動画配信サービスは、従来のメディアよりも柔軟で、個人が簡単に動画コンテンツの発信を始めることができる点に特徴がある。

動画配信の仕組みと配信方式の種類

動画配信の方法には、主に「ダウンロード配信」と「ストリーミング配信」があり、配信する動画の内容や視聴環境によって適した配信形式を選ぶ。以下では、動画配信の種類について解説する。

ダウンロード配信

ダウンロード配信とは、その名の通り動画や音声データを完全にダウンロードしてから視聴を開始する方式である。視聴者は、ファイル全体をデバイスに保存してから再生するため、ダウンロードが完了するまで視聴を開始できず、またダウンロード時に大容量のデータ通信が必要となる。ただし、ダウンロードできる動画配信サービスの場合、保存した動画データは、オフラインでも再生が可能になるというメリットがある。

ストリーミング配信

ストリーミングとは、インターネットを介して動画や音声データをリアルタイムに受信しながら再生する技術である。これにより、視聴者は動画ファイルを完全にダウンロードすることなく、すぐに再生を始めることができる。ただし、データは視聴中に一時的に保存されるが、視聴後は消去されるため手元に残らない。また、視聴中は常に安定したインターネット接続が必要で、接続速度が遅いと読み込みが遅くなる。ストリーミング配信は、特にライブ配信や大容量の動画ファイルを効率的に視聴するのに適している。

なお、ストリーミング配信の中には、さらにオンデマンド配信とライブ配信という種類がある。以下では両者の違いを解説する。

オンデマンド配信

オンデマンド配信では、収録した動画を事前にサーバにアップロードし、その中から視聴者が好きな時間に動画を選んで再生することができる。そのため、視聴者は自分のペースで動画コンテンツの再生を始めることができる。また、早送りや巻き戻しも視聴者が自由に操作できることから、eラーニングなどの教育動画や、映画などのエンターテイメント系で広く使われている形式である。

ライブ配信

ライブ配信では、文字通りライブ中継のように、リアルタイムの映像を同時に視聴することができる。同じ時間の映像を共有しているため、オンデマンド配信のように早送りや巻き戻しの操作はできない。こうした特性から、ライブ配信はイベントやスポーツの試合の生中継のほか、ウェビナーやゲーム実況などでも利用されることが多い。ライブ配信では、リアルタイムなコメント機能やフィードバックを通じて、視聴者と配信者が双方向に直接コミュニケーションを取ることができるものもある。

動画配信を利用するメリット

動画配信は、個人・法人の両方にとって、さまざまなメリットをもたらす。ここでは、具体的なメリットについて詳しく説明する。

幅広いユーザに視覚的にアプローチできる

インターネットにさえ接続できれば、世界中のユーザに動画を配信することができる。また、動画で情報を伝えることで、テキストや画像で伝える場合に比べて、視覚的・聴覚的な要素を組み合わせて効果的に伝えることができる。

簡単に配信・視聴できる

近年は、動画配信を始めるための機材やソフトウェアを手軽に入手することができ、導入のハードルが低くなっている。以前は配信を行うための専用の機材などを準備する必要があったが、最近はスマートフォンなどの端末と、動画編集・配信用のソフトウェアなどを使用すれば、誰でも簡単に配信をスタートすることができる。また視聴者側も、PCやモバイル端末(スマホ・タブレットなど)から気軽にアクセスして視聴することができるため、利用しやすくなっている。

費用対効果が高い

外部に向けて情報を発信したい場合、動画コンテンツを配信することで、従来のメディアや印刷媒体を利用した情報発信に比べて比較的低コストに抑えることができる。また、視聴者の反応や動画の視聴回数などのデータをリアルタイムかつ正確に分析できるため、情報発信の効果測定やユーザエンゲージメントの向上にも役立てることができる。

教育・トレーニングにも最適

動画の配信は、教育やトレーニングの分野でも効果を発揮することができる。例えば、ウェビナーやeラーニングを実施して動画を使った分かりやすい説明を取り入れることで、受講者のスムーズな理解をサポートすることができる。また、動画は何度も繰り返し視聴できるため、学習者が自分のペースで内容を理解することができるという利点がある。ビジネスの場でも、企業の社内研修や操作マニュアル、技術的なトレーニングなどに動画を活用することで、効率的かつより効果の高い教育を実施することができる。

動画配信プラットフォームの選び方と注意点

最近では、動画を配信するためのプラットフォームが複数存在するが、各種サービスによって特徴は様々で、それぞれメリット・デメリットも異なる。そのため、配信プラットフォームの利用を始める際は、目的やターゲット視聴者に応じて選ぶことが重要である。

例えば、世界最大の動画配信プラットフォームであるYouTubeは、基本的に無料で利用することができる。また利用者数が多く利用者の層も幅広いため、操作に慣れている人が多く利用しやすいのも強みである。また、同じく動画コンテンツの配信ができるVimeoも、広告がなく、高画質な動画を視聴できるため、ビジネス用途や教育コンテンツによく使われており、人気の高いプラットフォームである。

ただし、これらのサービスではインターネットを介して外部のサーバに動画をアップロードする仕組みとなっている。社内用の教育動画やWeb会議の録画など、社外に漏らしたくない情報を扱う場合、セキュリティ上の安全性に不安がある。また、クラウド型のサービスでは追加料金が必要となるケースも多い。中には無料で利用できるものもあるが、その場合使える機能や容量が制限されることがある。

セキュリティが気になる場合はOSSがおすすめ

上記の懸念点が気になる場合、OSSの動画配信ツールを利用するのがおすすめである。OSSを使えば、社内のサーバやプライベートクラウド上に自社専用の動画配信システムを構築することができるため、情報漏えいの心配もなく安心して利用することができる。セキュリティ面だけでなく、社内のネットワークで使うことでインターネット回線を利用した際のアクセス集中による遅延も回避でき、通信帯域を節約することにもつながる。

また、OSSはソフトウェア自体は無料で利用することができ、ライセンスコストもかからない。利用者が多くシステムの規模が大きい場合や配信する動画のサイズが大きい場合でも、追加料金などを気にせずに利用することができる。

動画配信システムを構築できるOSS

以下では、動画の配信を行う際に便利なOSSを紹介する。

動画配信・ライブストリーミング「AVideo」

AVideoイメージ

AVideoは、OSSの動画配信サーバである。撮影・録画した動画をオンデマンド配信することができる。また、後述するOBS Studioなどのライブ配信ソフトウェアと連携させることで、AVideo内でリアルタイムなライブ配信を行うことも可能である。

AVideoでは、ユーザがいつ動画を視聴したのか、動画全体の何%まで視聴したのかを、管理者側で確認することができる。そのため、在宅勤務中の社員へ動画を共有する場合や、研修やマニュアル等の必ず確認してもらいたい動画を配信する場合にも便利である。

ウェビナーシステム「BigBlueButton」

BigBlueButtonイメージ

BigBlueButtonとは、OSSのWeb会議システムである。特にウェビナーを実施する際に便利な機能が豊富に備わっており、モデレーター/プレゼンター/ユーザーといった権限設定や、PDFのスライド資料の共有をすることができる。利用者はWebブラウザからURLへアクセスするだけでウェビナーに参加することができ、個別にソフトウェアをインストールしたり、アカウント登録をしたりする必要がないため、社外からの参加者や会社の外からモバイル端末を使う場合でも、手軽にウェビナーを視聴することができる。

BigBlueButtonを使うことでウェビナーのライブ配信が行えるほか、録画・録音機能を利用してウェビナーを収録し、アーカイブ動画として残すことも可能である。その動画をAVideoなどにアップロードして後からウェビナーの内容を確認したり、後述するCanvas LMSと組み合わせてeラーニングの教材動画として利用したりすることができる。

ライブ配信映像の制作「OBS Studio」

OBSStudioイメージ

OBS Studioは、ライブ配信の映像の制作、配信ができるソフトウェアである。オープンソースで公開されており、Windows、MacOS、Linuxなどに対応している。一つの画面の中に、資料や画面共有の映像、自分のカメラの映像など、複数の映像を配置することができるため、ゲーム実況等でも活用されている。

学習管理システム「Canvas LMS」

Canvas LMSイメージ

Canvas LMSは、OSSの学習管理システム(LMS)である。OSSの中では世界で最も利用されている学習管理システムである。Canvas LMS上で、教材の配信、学習コースやスケジュールの管理、受講者の学習状況の進捗確認、テストの実施や採点などを行うことができる。そして、前述したAVideoやBigBlueButtonと連携させることができるため、動画を使ったeラーニングシステムとして活用することができる。受講者の動画の視聴状況も一覧で確認できるため、効率的な教育に役立てることができる。

デージーネットの取り組み

デージーネットでは、動画配信システムの構築サービスを提供しており、社内専用のシステムを構築した事例もある。また、デージーネットで構築したシステムには、導入後支援サービス「Open Smart Assistance」による保守サポートも提供している。Open Smart Assistanceでは、LinuxなどOSを含むシステム全体に対してのサポートを行っており、ソフトウェアの使い方に関するQ&Aの受付や、障害などのトラブル対応、ソフトウェアの脆弱性などのセキュリティ情報の提供を行っている。

また、デージーネットでは、Canvas LMSとAVideoを連携させたeラーニングシステム「LearNET(ラーネット)」を独自に開発し、構築サービスを提供している。LearNETには、デージーネットが独自に設計した動画視聴の履歴を参照できるWebUIがある。この画面で、ユーザのアクセス状況、どれくらい動画を視聴したのかなどを、一覧で確認することが可能である。そのため、学習管理と動画視聴をLearNETのシステム内で完結させることができる。また、LearNETはシングルサインオンのOSSであるKeycloakとも連携しているため、1回のログインだけで、連携しているすべてのシステムを利用することができる。

なお、本記事で紹介したOSSのインストール方法や詳しい使い方などの詳細は、調査報告書に掲載している。調査報告書は、下記ページから無料でダウンロード可能である。

【カテゴリ】:情報共有  インターネット  

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