よくある質問・用語集

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Mattermostとは

Mattermost(マターモスト)とは、Mattermost社を中心として開発されたオープンソースのビジネスチャットツールである。社内や組織内でコミュニケーションを取る手段として、1対1およびグループ間のメッセージ交換を行うことができる。また、ワークフロー管理、プロジェクトのタスク管理を行うことも可能である。WindowsやLinux、Macなどのデスクトップアプリだけでなく、iOSやAndroid用のアプリケーションも用意されているため、iPhoneなどのスマホやタブレットにインストールして利用することもできる。

Mattermost画面

Mattermost利用画面

Mattermostには、クラウド型とオンプレミス型の2つの利用形態がリリースされているため、自社のセキュリティ方針や運用マネジメントに合わせて選択することが可能である。

Mattermostクラウド(クラウド型)

SaaS(Software as a Service)でMattermostを使用する場合の利用形態。サインアップしてすぐ利用することが可能である。

Mattermostセルフホスト(オンプレミス型)

オンプレミス環境でMattermostを使用する場合の利用形態。組織内の物理サーバやプライベートクラウドの仮想サーバ、パブリッククラウドの仮想サーバなどで専用システムを構築することができるため、セキュアなチャットシステムを構築することが可能である。なお、Mattermostセルフホストには、さらに以下の4つのプランが用意されている。

  • Mattermostスターター

    小規模チーム向けのエディション。Mattermostの基本的な機能を、無料で利用することができる。プロフェッショナルプランまたはエンタープライズプランを購入し、ライセンスキーを登録することで、グレードアップすることが可能である。

  • Mattermostチームエディション

    Mattermostチームエディションは、無料で使用できるオープンソースのプラットフォームである。MITライセンスの下で提供されている。Mattermostスターターと同様、基本的な機能を無料で利用できる。ただし、追加機能のロックを解除する機能がない。

  • Mattermostプロフェッショナル

    複数チームに渡るチャットシステム向けの機能を利用することが可能である。また、モバイルプッシュ通知の機能も提供している。モバイルプッシュ通知はMattermostエンタープライズでも利用することができる。

  • Mattermostエンタープライズ

    高度なパフォーマンス、セキュリティ、コンプライアンスを提供するための機能を利用することが可能である。

Mattermostの特徴

以下では、Mattermostの特徴について解説する。

1対1のメッセージやグループでのチャット

Mattermostのメッセージ交換には、以下のような機能が付いている。

  • チャンネルの作成

    特定のメンバーと1対1でメッセージのやり取りを行う場合は、「ダイレクトメッセージ」のチャンネルを作成することができる。グループでチャットのやり取りを行う場合は、登録されているユーザ全員に見える「公開チャンネル」や、主催者が招待したメンバーだけが閲覧できる「非公開チャンネル」を設定することができる。

  • メッセージの引用

    メッセージのやり取りの中でスレッドを立てて、前の会話内容を引用してトークすることができる。

  • メンション機能の利用

    メンション機能では、特定の人に向けて返信をすることができる。

  • ポップアップ通知

    メッセージが送信された際、ポップアップで通知が出るように設定することができる。

プロジェクトのタスク管理が可能

かんばん方式でプロジェクトのタスク管理を行うことができる。ボードはチャンネル毎に管理することができ、タスクの一覧表示や進捗ステータスの管理を行うことも可能である。この機能は、現在プラグインとして追加することが可能である。

オンプレミス環境での利用が可能

ビジネスチャットサービスとしてはSlackやChatworkなどが有名で、最近では導入する企業も増えている。SlackやChatworkはWebブラウザやアプリをインストールして利用できるが、クラウド型のサービスとして提供されているため、やり取りの履歴やデータがサービス提供サイトに残ってしまうという問題がある。そのため、セキュリティ上の理由から、企業によっては利用が難しい場合がある。これらのビジネスチャットサービスと違い、Mattermostは、オンプレミス型のサービスも提供しているため、自社サーバに専用のチャットシステムを構築することができる。機密情報や個人情報を組織内に保存することできるので、安全で便利にビジネスチャットを利用することが可能である。

独自のチーム作成

部署やプロジェクトごとなど、組織独自のチームを作成し、作成したチームのメンバーだけでトークやタスク管理を行うことが可能である。既にMattermostに登録されているユーザを招待することはもちろん、追加したい人に招待メールを送信したり、チーム招待ページのリンクを共有したりすることで、チームにメンバーを追加することができる。

プレイブックの作成

プレイブック(playbook)とは、何度も繰り返し行う手続きを、チェックリスト形式で実行することができる仕組みである。Mattermostでは、指定したアクションがメッセージの中で確認されると、指定した名称のチャンネルが作成される。その後表示されたチェックリストに従いながら、タスクを進めることができる。プレイブックを使うことで、ワークフローを円滑に進めることができる。

多要素認証

Mattermostへログインする際、Google Authenticatorのワンタイムパスワードを利用した多要素認証を使用することができる。システムコンソールで多要素認証を有効に設定すると、ユーザーのプロフィール設定ページで多要素認証を有効にすることができる。多要素認証を設定することで、セキュリティを強化し、より安全に利用することができる。

サイトの使用統計の確認

Mattermostの管理者は、システムコンソールでサイトの使用統計やチームの統計、サーバログなどのレポートを確認することができる。また、環境設定やサイト設定、プラグインや認証の管理なども、システムコンソールから変更することが可能である。

社外の人ともメッセージができる

Mattermostのプロフェッショナルエディションでは、組織外の人がチームやチャンネルに制限付きでアクセス可能となる、ゲストアカウントの機能を利用することができる。ゲストアカウントの機能を活用することで、顧客との問題解決、外部の委託先とのプロジェクト推進などの連絡手段として、組織外の人とのコミュニケーションの活性化を図ることができる。

Mattermostの注意点

Mattermostを利用する際は、以下の点に注意する必要がある。

日本語表記の問題

Mattermostでは、表示言語を日本語で選択した場合、表示箇所が見切れる、日本語の翻訳がおかしいといった問題が見られる。また、Google Chrome/Microsoft Edgeでは、ボードのコメントを日本語で問題なく入力することができるが、Firefoxでは日本語で入力できないなどの課題もある。

無料版でAD/LDAP連携やOpenID Connectを利用できない

Mattermost無料版(スターター/チームエディション)では、ActiveDirectory/LDAP連携やOpenID Connectを利用することができない。ActiveDirectory/LDAPユーザの同期はプロフェッショナルエディションを、ActiveDirectory/LDAPユーザ/グループの同期は、エンタープライズエディションを利用する必要がある。また、OpenID Connectを使用したシングルサインオン(SSO)も、プロフェッショナルエディションを利用する必要がある。プロフェッショナルエディションでは、GitLab/Google Apps/Office 365等のOpenID Connectプロバイダに対応している。Mattermostのチームエディションの場合、デージーネットでは、LDAP連携やSSOの代替案を提案している。

無料版で大規模なシステムを構築できない

Mattermost無料版(スターター/チームエディション)では、大規模なシステムを構築することができない。利用人数が多い場合や複数のチームを作成したい場合などは、エンタープライズエディションを使う必要がある。エンタープライズエディションでは、冗長化したインフラストラクチャを使用して、ソフトウェア停止やハードウェア障害の際にサービスを継続できるHAクラスタを構成することができる。データベースのクラスタやレプリケーション機能と組み合わせれば、データベースの負荷分散を行うことができる。また、このHAクラスタ構成では、システム規模に合わせてスケールアウトを行うことができる。スモールスタートで開始して、システム規模の拡大に合わせて、Mattermostシステムを拡張していくことも可能である。

ビジネスチャットツールのOSS

ビジネスチャットツールには、Mattermostの他に以下のようなOSSがある。

Rocket.Chat

Rocket.Chatは、国内では最も普及しているオープンソースのビジネスチャットツールである。Slackを意識して開発されているため使い方もよく似ていて、簡単に利用することができる。Rocket.Chatは、LDAPサーバやActive Directoryとの連携機能を備えており、エンタープライズ向けの利用では、おすすめのソフトウェアである。Web会議システムのJitsiとも連携することができる。

Nextcloud Talk

Nextcloud Talkとは、クラウドストレージのOSSであるNextcloudで提供されているプラグインの一つである。Nextcloud Talkでは、チャット機能やビデオ会議を利用することができる。コミュニティ版ではビデオ会議の数に制限があるため、Nextcloudでビデオ会議の機能を利用する際は、商用サポート版を利用したほうが便利である。

OSSのビジネスチャットツールが適した場面

クラウド型のビジネスチャットツールと違い、OSSならオンプレミス環境に構築することができる。セキュリティ面が強化され、安全で便利にビジネスチャットツールを利用することができるため、チャットで重要な機密情報や個人情報を取り扱う場合に適している。また、クラウド型のツールの多くは、利用人数や機能、保存できるメッセージの容量などに制限があるが、OSSなら、利用人数やディスク容量によって追加で費用がかかることはない。利用する従業員数が多かったり、利用頻度が高かったりする場合には、OSSのビジネスチャットツールが適している。

OSSのビジネスチャットツールとしては、一般的に、LDAP連携やクラスタ構成をオープンソースソフトウェア版で行うことができるRocket.Chatをおすすめしている。しかし、大規模なシステムを構築したい場合はRocket.Chat、プロジェクト管理やチームの機能を利用したい場合はMattermost、クラウドストレージと一緒に利用したい場合はNextcloud Talkと、用途や利用環境に合ったOSSを選択することを推奨している。各種ビジネスチャットツールの特徴やメリットについては、以下のページで比較している。

デージーネットの取り組み

デージーネットでは、ビジネスチャットツールのサーバ構築・保守を行っている。slackのようなクラウド型のビジネスチャットサービスの代替として、企業・自治体への導入実績がある。規模の大きな組織での導入実績もあり、その実績を踏まえて、安全で便利なチャットシステムを規模に合わせて最適な構成で提案している。

デージーネットで構築したシステムは、Open Smart Assistanceという保守サービスに加入することができる。OSSそのものではなく、運用中のシステムが適切に運用できることをサポートしている。 Open Smart Assistanceの保守サービスでは、使い方から運用方法まで幅広い範囲でのQ&Aや、適正に運用できるようなセキュリティの情報提供、障害調査、回避を行い、安心して利用して頂けるよう管理者の業務をサポートしている。

また、デージーネットでは、Mattermostのインストール方法や使い方、機能などの詳細について調査報告書に掲載し公開している。調査報告書は、無料でダウンロードすることが可能である。

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