Metabase
今月の気になるオープンソース情報(2019年5月号)
OSS研究室 森 彰吾
今回はMetabaseを紹介します。
Metabaseは、ダッシュボードツールやBIツールなどと呼ばれるソフトウェアのひとつです。つまりデータベースの情報を可視化して、分析に役立てるためのツールです。
ダッシュボードツールはOSSだけでも複数存在します。有名なものとしては次が挙げられます。
- Re:dash
- Superset
- Kibana
- Grafana
Metabaseは、この中でも後発のソフトウェアですが、多くの特長を備えています。
専門知識を極力必要としないインターフェイス
多くのダッシュボードツールは、データベースの検索結果をグラフ化するツールです。そのため、データベースを操作するための知識が必要です。具体的にはRDBMSを操作するためには、SQLの知識が必要ということです。
Metabaseは、そのような知識を持たないマーケッターなどにも利用できるように、WEBインターフェイスでの条件選択で、データを検索・可視化ができるようになっています。
日本語化されたインターフェイス
Metabaseのインターフェイスは、多言語対応です。既に日本語化の対応も始まっており、現在では若干の違和感は残るものの、普段の利用には支障のないレベルまでになっています。
複数のデータソースに対応
Metabaseは、MySQLやPostgreSQL、MongoDB等の13種類のデータソースに対応しています。ダッシュボードツールによっては、特定のデータベースに特化したものがありますが(Kibana等)、Metabaseを使うことで、よく利用されるデータベースに保管された情報を可視化することができます。
多彩なグラフ
Metabaseは、線グラフや棒グラフなどの基本的なものから、パイチャート、ファネルプログレスバー、テーブルなど多彩なグラフが用意されています。また緯度・経度の情報を元に地図にピンを立てて表示するなどの可視化も可能です。
さらにデータにラベルを付与したり、値の単位を指定するなど、細かいパラメータの調整も可能になっています。
またダッシュボードツールとしては、基本的な機能ですが、グラフをダッシュボードにまとめて、表示することもできます。
認証と権限
MetabaseはAD/LDAP認証に対応しています。さらにユーザのグループ毎にデータソースの操作権限を決めることができます。例えばMySQLデータベースなら、データベース自体の検索権限の他に、データベースに含まれるテーブルの権限まで、柔軟に設定することができます。この機能を利用することで、センシティブなデータが含まれるデータベースでも、グループ毎に開示するデータを制限することができます。
このように多くの特長をもつMetabaseにも課題があります。
- 複数のデータテーブルに跨って検索を行う場合に、SQL等の知識が必要になる
- ダッシュボードやグラフの完全な削除ができない(アーカイブのみ)
- 複雑な条件でグラフの生成に失敗することがある
これらの課題は、Metabaseが開発途上のソフトウェアであることに起因していると考えられます。現在Metabaseのバージョンは、0.32.5であるため、さらに開発が進むとより高機能かつ堅牢なソフトウェアに成長することが期待できます。
デージーネットでは
デージーネットでは、ダッシュボードツールとしてはGrafanaを提案している実績があります。今後はMetabaseをはじめとしたダッシュボードツールの動向をチェックし、より要望にマッチしたツールを提供していけるよう継続して調査を進めていきます。