Ubuntu Serverの最新版がリリース!24.04 LTSのアップデート情報
経営企画室 OSS企画チーム 森 彰吾
今回は2024年4月にリリースされた、オープンソースのLinux系OS「Ubuntu Server 24.04 LTS」について紹介します。
Ubuntu Serverとは
Ubuntu(ウブントゥ)は、Canonical Ltdという企業が母体となって開発が行われているLinuxディストリビューションです。2004年に初期リリースが行われてから現在に至るまで、継続的にリリースされています。
Ubuntuは、主に一般ユーザ向けのデスクトップ環境として有名です。ただ、今回紹介するUbuntu Serverは、その名の通りサーバ用途に特化したOSです。Ubuntu Serverを利用すると、サーバ用途に不要なデスクトップ系のソフトウェアなどを含めずにインストールすることができます。Ubuntuから派生したOSは、サードパーティ製を含めると多々存在しますが、Ubuntu Serverは Canonicalが開発する公式のOSの一つです。
今回はこのUbuntu Serverの最新版であるUbuntu Server 24.04 LTSを紹介します。
Ubuntu Server 24.04 LTSでの変更点
前置きとして、今回のアップデートでは大きな変化はありません。ひとつ前のバージョンである22.04 LTSと比較して、管理運用や操作の側面で新しくなった部分はほぼありませんでした。
主な変更点は、Linuxのコアにあたるカーネルや開発言語、ミドルウェアのアップデートです。今回のリリースでバージョンが上がった言語やソフトウェアを抜粋すると次の通りです。
まず、OSのベース部分に関連する項目です。
- Linuxカーネルのバージョンを6.8にアップデート
- systemdのバージョンをv255.4にアップデート
- Netplanのバージョンを1.0にアップデート
次に開発言語です。
- Gccのバージョンを14にアップデート
- Glibcのバージョンを2.39にアップデート
- Pythonのバージョンを3.12にアップデート
- OpenJDKのバージョンを21にアップデート(バージョン8/11/17も維持され利用可能)
- Rustのバージョンを1.75にアップデート
- Goのバージョンを1.22にアップデート
- PHPのバージョンを8.3.6にアップデート
- Rubyのバージョンを3.2にアップデート
次にミドルウェアです。
- Apache HTTP Serverのバージョンを2.4.58にアップデート
- mod_http2の改善や、ACMEによる証明書自動更新を担うmod_mdの改善を含む
- Nginxを24.04にアップデート
- HTTP/2やTLSv1.3のサポート
- PostgreSQLを16.2にアップデート
- OpenLDAPを2.6.7にアップデート
APTリポジトリの設定書式の変更
管理者にとって少し影響があるのが、APTリポジトリの書式の変更です。APTとは、ソフトウェアをインストール・管理するためのツールです。リポジトリは、ソフトウェアパッケージを保存・配布している場所のことを指します。
このAPTリポジトリは、UbuntuデフォルトのURLの他に、サードパーティ製のリポジトリのURL等の情報を設定することができます。そうすることで、aptコマンドで様々なソフトウェアをインストールできるようになります。
この設定が、Ubuntu 24.04 LTSからはdeb822と呼ばれる形式に変更になりました。と言っても、設定する内容や意味は以前とほぼ変わらない上に、あまり頻繁に変更するようなファイルでもないため、影響はほぼありません。
Ubuntu Server 24.04 LTSのサポート期間
Ubuntuでは、LTS(Long Term Support)と呼ばれる5年間の長期サポート版のリリースが2年毎に行われます。24.04 LTSもこれに該当します。なお、一つ前のLTSリリースは、Ubuntu 22.04 LTSです。Ubuntu 24.04LTSは、今年2024年4月にリリースされたので、2029年4月までサポートされることになります。ここで言うサポートとは、ソフトウェアの脆弱性対応版リリースなどのことを指します。
なお、Canonical社が用意しているUbuntu Proと呼ばれるサービスに加入することで、サポート期間を10年間(2034年4月まで)に延長することができます。
さらに、Legacy supportと呼ばれるサービスでは、12年間(2036年4月まで)サポートを受けることができます。
Ubuntu Server 24.04 LTSの採用について
ここまで話したとおり、今回のリリースでは大きな変更はありませんでした。
ただ、カーネルのバージョンが上がっていることや、言語・ミドルウェアのバージョンが変わっています。そのため、利用するハードウェアやアプリの動作確認を実施してから導入することをお勧めします。
また、まだリリースされてから2ヶ月程度ということもあり、これから問題が発見されて行く可能性もあるため注意が必要です。
デージーネットでは
デージーネットでは、Ubuntu Serverを利用したシステム構築を実施しています。システムの構成や今後の保守性を考えたOS選定、アプリの動作確認なども実施しています。Ubuntu Server 24.04 LTSの利用について不安がある場合は、ぜひお問合せください。
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