システム構築

構築事例:Cockpitによるサーバ管理ツールの導入

Open Smart Design

今回は、製造業者様にてメールサーバにCockpitを導入した事例についての記事です。お客様はメールサーバ管理をコマンドラインインターフェースで行っていたため、サーバの状況の把握に時間がかかっていました。そのため、操作が簡単なGUIの導入をご要望でした。また、現状のメールサーバに影響が出ないよう、最小限のGUI構成をインストールすることを検討されていました。

お客様が悩まれていた課題
CLI操作に慣れている社員が少なく、気軽にサーバ管理やログ参照ができない
対象がメールサービスのサーバなので、セキュリティ対策が心配
GUIの導入により現状のメールサービスに影響を与える可能性がある
+導入企業プロフィール
導入企業業種

製造業

ユーザー規模

約300名

利用OS

Ubuntu 20.04.4 LTS

導入月

2022年4月

デージーネットが提案した「Cockpitによるサーバ管理ツールの導入」

アイコン男性

解決ポイント

Linuxを管理するためのWEBインタフェースCockpitの導入

Linuxサーバではコマンドラインでのシステム管理が一般的で、今回のお客様も、メールサーバ管理を現在はコマンドラインで行っていました。しかし、コマンドラインでは扱える人が限定されてしまうため、自社で誰でも簡単に扱えるよう、GUIの導入を今後ご希望との相談を受けました。

通常、システムの管理をGUIで行うためには、X windowシステムを利用し、管理用の専用ソフトウェアを立ち上げる必要がありました。しかし、この方法では以下の懸念点がありました。

  • GUIを動かすために多くのライブラリやソフトウェアのインストールが必要
  • 導入するソフトウェアが多いため、脆弱性への対応が頻繁になる
  • GUIを利用するためにはコンソール・リモートデスクトップ・VNCのどれかを利用する必要があり操作が難しい
  • GUIは、管理用のソフトウェア以外のソフトウェアもあり、管理上あまり好ましくない

上記の懸念点を解決するソリューションとして、今回は、サーバ管理インターフェースCockpitの導入を提案しました。

Cockpit画面

Cockpit(コックピット)は、Redhat社がスポンサーとなって開発が進められている、Linux管理をWEBインタフェースから行うことができるソフトウェアです。Red Hat Enterprise Linux 8(RHEL8)以降から、標準搭載されるようになりました。Cockpitを利用することで、サーバのアカウント管理やネットワーク管理等、サーバ管理者による重要な管理業務の仕事が、WebUIから実現できるようになり、操作性や業務効率が向上します。またCockpitは、GUIほど余計なソフトウェアやライブラリを要求しないことから、「現状のメールサーバに影響が出ないよう最小限の構成にしたい」というお客様のご要望に最適なため、導入をおすすめしました。

その他のご要望の代替案を提案

お客様からは、その他にファイアウォールの設定変更やセキュリティソフトのインストールに不安があるとのご要望がありました。そのため、ファイアウォールの設定は、コマンドラインでの操作手順書の作成・納品を提案しました。セキュリティソフトのインストールにおいては、弊社が提供している保守サービスにご加入いただき、Q&Aを活用していただくことや、インストールで設定変更が必要な場合は、クーポンをご購入いただきスポットで対応することを提案しました。

導入時の工夫

弊社では、導入の際に以下の工夫を行いました。

NetworkManager経由でのネットワーク管理に変更

今回、利用のOSにはUbuntuを提案していました。Ubuntuのネットワーク設定は、標準ではNetplanが利用されています。しかしCockpitは、Netplanではネットワーク管理ができません。そのためシステムの導入に合わせ、Ubuntuのネットワーク管理については、NetplanではなくNetworkManagerを活用できるように切替を実施しました。

Cockpitの機能の確認

Cockpitは、Linuxのシステム管理のOSSですが、利用できる機能が多くあります。今回お客様のご要望の内容以外にも、WebUIからのログ参照・分析や、ネットワークの状態・ストレージのデータの状態参照も機能として存在します。サーバの管理を行える各機能が利用できることを、導入時に確認しました。

導入後の結果

アイコン女性

Cockpitの導入により、サーバ管理業務におけるグラフィカルな画面での操作や、コマンド操作で確認していた部分のデータの参照がWebUIから可能となりました。また、CockpitではGUIほど余計なソフトウェアやライブラリのインストールが必要ないため、脆弱性およびサーバリソースの消費も抑えることができました。システム管理者のアカウントでログインをすることで、CPUやメモリの使用状況、ログの確認ができるようになりました。

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